夏祭りに参加すると、「盆踊り」を踊ることが多いですよね。
どんな意味があるのか、考えたことがありますか?
みんなで踊ると楽しいですが、実は楽しいからという理由だけではないのです。
盆踊りは何のために行われるのか、使われている曲や各地の盆踊りについてご紹介します。
盆踊りの意味は?
盆踊りというと、広場などにやぐらを組み、その周りをみんなで円になって周りながら踊る、というイメージを持つ人が多いと思います。
屋台が出ていたり浴衣を着たり、夏祭りの中で行う楽しいイベントの1つですよね。
本来盆踊りには、お盆に帰ってきたご先祖様を慰めるという意味があります。
お盆である8月15日の夜から盆明けの16日まで踊り続ける、という地域もあるようです。
にぎやかに踊って歌うことで、楽しい気持ちでご先祖様を送り出すという意味があるそうです。
盆踊りは、平安時代中期に活躍していた空也という僧侶が起源といわれています。
空也は人々に念仏を覚えてもらうために、ひょうたんを手にもってたたきながら、念仏を歌うように唱えていました。
そのとき念仏に合わせて踊るようになり、それが「念仏踊り」として知られるようになりました。
その念仏踊りが先祖を供養するお盆と結びつき、「盆踊り」ができたといわれています。
鎌倉時代には盆踊りが全国に広まり、盆踊りは先祖供養というよりも娯楽的な要素が強くなっていきました。
地域ごとの盆踊りが誕生したのはこの頃です。
江戸時代になると、盆踊りは地域の人々の交流の場・男女の出会いの場になっていきます。
男女の出会いの場になったことで性的に乱れることが多くなったため、警察の取り締まりの対象になり、明治時代には盆踊りは衰退しました。
大正時代には農村の娯楽として再び盆踊りが盛んになり、今でも日本各地で行われています。
お祭りの由来や目的は?
日本では、1年を通してたくさんのお祭りが行われています。
お祭りは農耕と深い関係があり、季節によって目的が異なります。
春は稲を植える時期であり、「はじまり」を意味する季節です。
各地で豊作祈願が行われ、無病息災を祈願します。
夏は都市部と地方で異なります。
都市部では夏に疫病が流行することが多かったため、疫病退散が行われました。
地方では害虫や台風の被害が多く、成長した作物が損なわれないよう台風除けや虫送りが行われました。
先祖を供養するための盆踊りや送り火などの仏教系儀式も行われます。
秋は収穫に対する感謝祭が行われます。
冬は収穫が終わった農閑期の季節です。
田の神様に感謝し、新年を迎えるための新春祝いが行われます。
代表的な曲は?
・炭坑節(たんこうぶし)
盆踊りで最もスタンダードな曲と言ってもいいでしょう。
どの地域でも使われる定番の曲なので、聞いたことがある人も多いはずです。
振付が簡単で曲も短いので、踊りが苦手な方や子どもでも覚えることができます。
もともと炭鉱労働者に歌われた民謡なので、「炭坑節」という名前になったようです。
・東京音頭
東京の盆踊りでは必ず使われる定番の曲です。
「東京」とついていますが、全国的に有名な曲です。
・花笠音頭
花笠を持って踊る、山形県発祥の盆踊りの曲です。
山形の民謡ですが、全国的に有名な曲です。
・ソーラン節
「よさこい」で使われる有名な曲ですが、盆踊りの定番曲としても有名です。
聞き覚えがあり、幅広い年代の方が楽しめる曲です。
・アンパンマン音頭
子どもにも人気の、盆踊りの定番曲です。
知名度が高く振付も簡単なので、子どもから大人まで楽しく踊ることができます。
・ドラえもん音頭
ドラえもんは老若男女世代を問わず人気ですよね。
そのドラえもんの盆踊り曲です。
こちらもよく盆踊りで使われる定番曲です。
・ポケモン音頭
子供向けの盆踊り定番曲です。
振付も簡単で、外国人向けの振付動画もたくさんあります。
外国人のファンも多い盆踊り曲です。
・ちびまる子音頭
静岡県の盆踊りでよく使われる、ちびまる子ちゃんの盆踊り曲です。
各地の盆踊り
盆踊りは日本全国で行われており、規模の小さなものから大きなものまでさまざまです。
「日本三大盆踊り」と呼ばれているのは「西馬音内の盆踊り(にしもないのぼんおどり)」、「郡上踊り(ぐじょうおどり)」、「阿波踊り(あわおどり)」です。
この3つは数ある盆踊りの中でも伝統があり、規模が大きいものです。
「西馬音内の盆踊り」は、秋田県羽後町に古くから受け継がれてきた伝統行事です。
先祖の霊を慰め、豊年万作を願う地域住民の行事として続いてきました。
踊りの中でかぶられている「ひこさ頭巾」という黒い覆面が亡者を連想させることから、別名「亡者踊り」と呼ばれることもあります。
にぎやかで勇ましいお囃子と、優雅な美しい踊りの不思議な調和が特徴です。
流れるような動き、しなやかな手ぶり、地面をするような足さばきが幻想的で洗練された美しい踊りです。
西馬音内の盆踊りの起源については記録されたものが全くなく、言い伝えによるものしかありません。
正応年間(1288~93)に修行僧が豊年祈願として躍らせたものであり、これが亡者踊りと合流したという説があります。
現在では、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
「郡上踊り」は、岐阜県郡上市八幡町で400年以上続く、国の重要無形民俗文化財に指定されている盆踊りです。
7月中旬~9月上旬の約2か月間開催されます。
8月13~16日のお盆期間は「徹夜踊り」といって夕方頃から明け方まで踊り続けます。
奇祭とまで呼ばれることがあるのはこのためです。
よさこい踊りなどのように「見る踊り」が多いのですが、郡上踊りは「踊る踊り」として有名です。
誰でも参加可能なのです。
踊りがわからなくても、参加したい人は誰でも輪の中に入っていって大丈夫です。
郡上踊りは江戸時代頃から盆踊りとして始まったといわれていますが、
その当時お盆の4日間は無礼講で身分の隔てなく踊ることを推奨されていたからです。
地元の方はもちろん、観光客もいっしょに踊ることができるのが魅力の1つです。
「阿波踊り」は、徳島で毎年お盆の季節に開催されます。
400年の歴史を持ち、その名は世界にも知られている、有名な盆踊りです。
「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃそんそん」のフレーズを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
阿波踊りは対象14年頃から盛んに踊られるようになったといわれており、年を重ねるごとに豪華になりました。
市民社会にも定着し、特に戦後は復興の象徴として発展していきました。
このようにして、今では日本を代表する伝統芸能として知られるようになったのです。
公園や通りなどさまざまな場所に会場が設けられ、徳島中が熱気に包まれます。
盆踊りにマナーはある?
盆踊りに参加するときは、荷物を最小限にしましょう。
肩にかけるポシェットや帯に下げる巾着袋に貴重品だけを入れます。
財布、携帯電話、ハンカチ、ティッシュがあれば大丈夫でしょう。
踊るときに邪魔になるので荷物はできるだけ減らし、手には何も持たないようにします。
うちわを持っていくのがおすすめです。
踊っている途中暑くなったら使えますし、うちわを使って踊る曲もあるからです。
盆踊りといえば浴衣のイメージが強いですよね。
浴衣を持っていない人や、会社帰りで帰って浴衣を着てくる時間がない…という人もいると思います。
実は、盆踊りは洋服でも参加できるんです。
会社帰りにスーツで踊る人もいます。
誰でも気軽に参加できるのが盆踊りなのです。
洋服で参加する場合も、荷物は最小限にすることをおすすめします。
一般的に盆踊りは、やぐらの周りをぐるぐるまわりながら踊ります。
ちょうちんを下げ、紅白の幕を張ったやぐらの上では太鼓をたたいたり歌がうたわれ、ベテランの人たちが踊りの手本を見せてくれています。
なかなか勇気が出ずに踊りの輪の中に入れない人も多いようですが、思い切って入ってみましょう。
1度入ってしまえば、楽しく踊ることができるでしょう。
踊り方がわからない人は、やぐらの上にいるベテランの踊り手さんたちをお手本に踊るのが一般的です。
しかし、参加者の輪の中にも踊りが上手な人はいます。
やぐらが遠くて見づらいこともありますので、近くでお手本にできる人を見つけるのもおすすめです。
知らない曲やわからない振付があっても、見よう見まねでなんとかなります。
踊りが上手くないからと不安になる人もいると思いますが、上手いか下手かは関係ありません。
楽しむことが大切なのです。
盆踊りは夏の暑い時期に行われることが多いので、こまめに水分をとりましょう。
熱中症などになってしまっては危険ですし、せっかくの楽しい時間も台無しになってしまいますよね。
まとめ
盆踊りの意味や各地で行われる盆踊り、使われる曲などについて紹介してきました。
盆踊りに先祖供養の意味があったことを、意外だと思った方も多いと思います。
参加する機会があったら、先祖を供養する気持ちをこめて踊ってみるといいかもしれません。
今回紹介した日本三大盆踊り以外にも、全国にはたくさんの盆踊りがあります。
興味がある方は調べてみたり、実際に行ってみてはいかがでしょうか。