秋田県には歴史のあるお祭りがたくさんあります。
その中には古くからの人々の願いが込められている物が多く、現在に続いてる理由がわかります。
秋田県で横手のかまくらは有名です。
他にはどのようなお祭りがあり、それぞれにどのような願いが込められているでしょうか?また、水神さまは秋田の人々にとってどんな存在なのでしょうか?
秋田県のかまくらと呼ばれる物には一体どれだけ種類があるの?
かまくらと呼ばれる物は1つの種類だけではなく、いくつかの種類があるのです。
まず初めは「横手のかまくら」です。
はるか450年という歴史がある横手のかまくらは、秋田県の代表的なお祭りになっています。
お祭りとは呼ばれていますが、かまくらを作るということ自体が行事となっています。
次に「六郷のかまくら」です。
六郷のかまくらは古い歴史があり、重要無形民俗文化財になっているのです。
美郷町の六郷という地区で行われる神事であり、「かまくら行事」と呼ばれています。
六郷のかまくらは「蔵開き」「天筆まつり」「取追い行事」「竹内」の順に行われます。
それぞれ日にちが決まっているので2月の11日から15日にかけて行われます。
続いては「楢山かまくら」です。
少し見た目が変わってるかまくらで、まずは雪で囲いを作り、そこに藁で作った屋根をかぶせています。
その中では水神さまや鎌倉大明神という神様たちが祀られています。
かまくらの中に空の米俵を積み重ね、祭りが終わるころに1つずつ火をつけて振り回しました。
秋田県のかまくらと言っても、これだけ多くの種類があるのです。
地域によって細分化されているのが興味深いですね。
それぞれを見比べてみるとたくさんの発見がありそうですね。
横手のかまくらというのはどういうもの?
秋田のかまくらにもいくつか種類があり、横手のかまくらと呼ばれる物は秋田県を代表する伝統行事です。
無料で見られるため、日本のあちこちからたくさんの方が観光に来られています。
450年ほども前から続いており、雪の夜を幻想的に彩ってくれます。
見た目は昔話のように懐かしく風情がありますので、日本人だけではなく外国人の観光客の方にも人気です。
夜になるとあちこちのかまくらからあかりがこぼれてくる様子は幻想的で良い記念になりそうですね。
毎年横手のかまくらが行われているのは、2月の15日から16日くらいの小正月と呼ばれる時期です。
水神さまをかまくらの中に祀り、お賽銭をあげます。
家内安全、五穀豊穣、商売繁盛などをお願いする風習がかまくらの起源なのです。
現代では観光向けが進んで今の形になりました。
横手のかまくらは特に夜にはあかりがともって美しいのですが、昼も風情があっておすすめです。
横手のかまくらは横手公園、二葉町かまくら通り、羽黒町武家屋敷通り、市役所前道路公園を中心に行います。
夜になると、この4つの会場はどこも人で賑わいますが、人通りの少ない昼も見応えがあるのです。
たっぷりと積もった雪が静かな町の中で白く輝いています。
その中で作られたかまくらはシンプルであるのに対して存在感があり、見る者を楽しませてくれます。
4つの会場には駅から歩いて行けますので、人通りの少ない昼間に散歩がてら見に行くのもおすすめです。
運が良ければかまくらを作る現場に立ち会うことが可能です。
かまくらを作る技術がある人は限られています。
かまくら職人と呼ばれる方たちで、夜になると見ることが不可能です。
あたりが暗くなるころからが、横手のかまくらの本番です。
周りにも少しずつぽつぽつとあかりがともってきます。
かまくらはたくさんあり、どこに入ってもかまわないということになっています。
しかし人が多いため、だいたいどこのかまくらにもすでに誰かが入っている可能性があります。
本来ならかまくらの中に居る子供たちに「はいってたんせー」という呼びかけをされてから入るものなのです。
「はいってたんせー」とは「はいってください」という意味なのです。
中の人が出てくるのを待つか、たくさんの人が入っていないかまくらがあればそこに入りましょう。
中に入ればまずは水神さまが祀られている祭壇にお賽銭をあげましょう。
秋田県の人々とって水神さまというのは大切な神様ですので、大切に扱いましょう。
祭壇にお賽銭をあげると子供たちが焼き餅や甘酒をふるまってくれるので、みなさんとおしゃべりしながら食べましょう。
横手のかまくらの歴史は?
はるか450年ほども前から続いていると言われる横手のかまくらは、一体どうやって始まったのでしょうか。
江戸時代には内町(うちまち)という、武家の住んでいる場所がありました。
そこでは旧暦の1月14日の夜になると、雪で四角い壁を作ります。
そしてしめ縄や門松をその中に入れました。
お餅やお神酒をそなえて燃やして災害を除き、無事に子供が成長することを祈ったのです。
商人たちが住んでいる場所を外町(とまち)と呼び、旧暦の1月15日の夜がくると外町の井戸の近くに雪穴を作りました。
そこで水神さまを祀って、良い水に恵まれるようにお願いしたのです。
この時代の子供たちは、積もってコブのようになった雪に穴をあけ、その中で遊ぶことがありました。
内町と外町の風習が時代の流れで融合し、現在の形になったと言われています。
大正時代の終わりごろまでは、それぞれの町でかまくらを作っていました。
かまくらの夜は満月ですので、子供たちは月のあかりで自分の影遊びをしていました。
昭和に入るとかまくらの強度が増すようになりました。
全てを雪で作っていたために、天井が落ちる危険性もあったからです。
強度を増すために、天井にはむしろを掛けて、入口にはござを下げました。
昭和も中ごろになると、自動車が普及してきて交通量が多くなってきました。
そのため道路にあるかまくらが交通の邪魔にならないように、縦長い形に変化してきたのです。
車の数はどんどん増えていき、やがて道路でかまくらが作れないようになっていきました。
縦長く作っていた道路のかまくらはそのうち小さくなり、町のあちらこちらでそれぞれ小さいかまくらを作るようになっていきました。
それらを集めて「かまくら通り」というものが作られ、観光に向けて動きだすようになったのです。
それが現在の横手のかまくらにつながり、人々の目を楽しませるお祭りになりました。
水神さまってなんなの?
昔は現在のように水道がなく、水を確保するのに大変でした。
飲み水だけではなく、洗ったり流したりといった生活用水に困っている状態でした。
朝早くから大人も子供もバケツを持ち、毎日のように井戸から汲んでいました。
水神さまは「すいじんさま」と呼ばれる神様です。
横手では「おしず(清水)の神さん」という名前で呼ばれています。
他の地域と違い、横手という場所には良質の井戸が多くありませんでした。
その為昔から飲み水には大変苦労していて、明治になってもその苦労は続いていました。
水を汲むために若い人を雇い、誰もが飲み水の確保に大変だったのです。
正月の15日は水汲みを普段よりも早めに切り上げて、井戸を休めるようになりました。
井戸の蓋を閉めて井戸小屋を幕で飾り、水神さまを祀り上げます。
この際にお供えしていた物やお賽銭で井戸の管理ができていたのです。
水神さまはかんがい用水や飲み水の神様です。
人間は水がないと生活できないため、水神に対する信仰は厚いものでした。
特に農村では水がなければ何もできないので水のあるところにはそれぞれ神様が居ると考えられてきました。
水神さまは蛇や竜の形に伝えられることが多く、水神信仰はとても深いのです。
冬の秋田県には他にはどんなお祭りがあるの?
秋田県には冬のお祭りは横手かまくらだけではなく、さまざま物があります。
冬が厳しく雪が多い秋田県だからこそ楽しめるのです。
まずは仙北市西木町の「上桧木内の紙風船上げ」です。
こちらは幻想的なお祭りで、雪の厳しい所でこそ見られるものなのです。
100年以上もつづいていて毎年2月10日に行われる小正月行事なんです。
大人よりも大きな紙風船に武者絵や美人画が書かれ、夜空に打ち上げられるのです。
その数100個以上にもなり、大きな紙風船が夜空にどんどん舞い上がっていく様子はとても幻想的です。
秋田名物が並ぶ屋台も出るので、身も心も楽しめます。
次は男鹿市の「なまはげ柴灯まつり」です。
なまはげはご存じの方も多いのですが、この祭りはみちのく五大雪まつりのひとつなのです。
900年以上も前から続いている神事で、毎年1月3日に行われています。
「なまはげ柴灯まつり」は「柴灯祭り」と「なまはげ」が融合した観光行事なのです。
なまはげの迫力ある乱舞が見られますので、大人も子供も楽しめるお祭りなのです。
次は湯沢市の「犬っ子まつり」です。
こちらも400年以上続く民俗行事で、毎年第2土曜日と日曜日に行われます。
大昔に殿様が大盗賊を退治したのですが、もう二度と悪い人が来ないように祈願したのが始まりと言われています。
その時にお供えした物が、米の粉で作った犬なのです。
犬っ子まつりではあちらこちらに犬っ子の雪像が並び、和やかなお祭りになっています。
秋田県のお祭りには歴史が長いものが多く、人々に大切にされていることがわかります。
伝統のある秋田県のお祭りはどれも魅力的ですね。
まとめ
秋田県の冬はとても寒く、雪が多いのですがそれをお祭りに汲みこんでいる所が印象的です。
歴史を大切にし、昔からある物に感謝をかかせない秋田の方の気持ちが現在のお祭りにつながっているのですね。
横手のかまくらも、昔からの感謝の気持ちと周りの方を楽しませようという気持ちが合わさったお祭りです。
毎年多くの方が訪れ、それを受け入れる地元の方々との交流がまた新たな歴史を作っていきます。
これからも長く続いていってほしいものですね。