草木萌動という言葉、草木を前にした時に口にする機会がありますよね。
イメージとしては何となく理解していても、詳しい意味はあまり知らない人が多いと思います。
草木萌動はどの時期のことをいうのか、旬の食べ物や行事なども気になるところです。
草木萌動と関係の深い雨水についても、説明していきます。
今回は草木萌動について意味や時期、旬の食べ物や行事を詳しくご紹介していきましょう。
草木萌動の意味や時期とは?
草木萌動は聞いたことがあっても、意味や時期をよく知らないという人が多い言葉です。
草木萌動は七十二候という季節を72に分けたもののひとつなので、特定の時期を表しています。
意味や時期を説明する前に、読み方や七十二候について把握してから順番にみていきましょう。
読み方とは?
草木萌動の読み方ですが、一般的には「そうもくほうどう」と読みます。
一方で草木萌動は七十二候のひとつの季節を表すため、読み方は少し異なって「そうもくめばえいずる」となるのです。
七十二候は鶏始乳の「にわとりはじめてとやにつく」など、普通に読むのではなかなか難しい読み方が多いのが特徴でしょう。
難読ではありますが、知っていると一目置かれやすいといえますね。
七十二候とは?
草木萌動は七十二候のひとつですが、どういった季節の区切りなのでしょうか。
七十二候は中国より伝わった、一年を72に区切って季節を感じやすくしたものです。
同じようなものに二十四節気がありますが、二十四節気からさらに3分割して細かく季節を区切っています。
ひとつの季節は4〜5日で終わってしまうのですが、より細かく区切ることで様子がわかりやすくなっているのです。
二十四節気に比べるとあまり知られてはいませんが、より季節の変わり目を感じるには七十二候を把握しておくと良いですね。
二十四節気は中国より伝わってからも変わりないため、現代では微妙な季節のズレが生じます。
一方で七十二候は日本に伝わるに当たって、季節とズレを感じるたびに改変されているのが特徴です。
いつの時期?
草木萌動は七十二候の6番目の季節にあたるので、時期は3月1日〜4日となっています。
3月の始めということで、長い冬を終えて新芽が顔を出してくる時期ですよね。
色あせていた草木もどんどん生き生きとした鮮やかさを出してきて、春ならではの生命の息吹を感じます。
草木だけではなくて、人間も冬を無事に越して心身ともに元気になってくる時期ですよね。
どんな意味がある?
草木萌動の時期を知っていればなんとなく意味をイメージできますが、春が少しずつ訪れてきていることを感じ、新芽が一斉に顔を出して草木が輝いている様を表しています。
「萌動」の萌えるという言葉は、現代で多くの人がイメージすることとは少し違います。
本来の「萌える」の意味は草木が芽吹くことを表すため、草木が芽吹き出してどんどん青々としてくる様子が手に取るようにわかりますよね。
3月の頭という時期から、徐々に暖かくなって草木があちこちで芽吹き出してきたことを教えてくれるのが草木萌動なのです。
とてもポジティブなイメージがある七十二候の季節ですよね。
草木萌動の時期に天気が快晴になると、木の芽晴れなどといわれてより一層木の芽が伸びてきそうになります。
木の芽の伸び方から季節を感じていた昔の人は、自然を大切にしてきたのだと感じるでしょう。
草木萌動におこないたい行事
短い季節ではありますが、ぜひ草木萌動におこないたい行事はどんなものがあるのでしょうか。
中には「知ってはいたけど、草木萌動の時期におこなうと良いのか!」という新たな発見もあるかもしれません。
3月頭におこなわれる旬の行事について、詳しく見ていきましょう。
お伊勢参り
お伊勢参りに旬なんてあるのかと思いますが、実は江戸時代には春から伊勢神宮にお参りに行く人が多かったのです。冬は寒さが厳しいため、なかなか外には出たくない日々が続きます。3月に入り、草木萌動となると徐々に暖かい日が増えて外に出やすくなってくるのです。
江戸時代では、春におこなわれてきたお伊勢参りですが、やはり暖かくなってきたしそろそろ出かけたいという気持ちが出てきていますね。
新芽が出てくるように、気持ちも前向きになって活発になる季節でもあります。
行事というほどでもないのですが、ぜひ家族や仲間でお伊勢参りに出かけてみると良いでしょう。
桃の節句
草木萌動の3月1日〜4日の間にある行事といえば、やはり桃の節句ですよね。
女の子の健やかな成長をお祝いするために、雛人形を飾っている家庭も多いです。
桃の節句には旬の食べ物のひとつであるハマグリのお吸い物が食卓に並びますが、二枚貝は「組み合わせる」意味があって良縁に恵まれるといわれています。
旬の菜の花を使ってちらし寿司にするなど、桃の節句の食卓は旬の食べ物が並んで色とりどりとなるのが特徴です。
女の子がいない家庭でも、旬を意識して食事作りをしていきたいですね。
草木萌動の旬の食べ物とは?
草木萌動の時期は、寒さが落ち着いて春らしい暖かさが戻ってきます。
暖かくなって食べる機会の増える旬の食べ物は、具体的にどんなものがあるのでしょうか。
旬の食べ物を食べるといつもより栄養をたくさん取り入れられたり、季節を感じられたり良いことづくしです。
野菜や海産物まで、草木萌動の旬の食べ物について詳しく見ていきましょう。
春キャベツ
キャベツといえば身がしっかり締まっていて、シャキッとした食感が特徴です。
草木萌動に旬を迎える春キャベツの場合は、身がそこまで詰まっているわけではなく葉も柔らかくなります。
いつものキャベツをイメージして食べると不思議な感じがしますが、甘みが強くて食べやすいのでおすすめです。
春キャベツは柔らかさを活かしてロールキャベツにしたり、ポトフに入れたりして活用しましょう。
菜の花
旬の時期は安価で購入ができる菜の花は、毎年草木萌動や前後でしか食べられない野菜です。
少し苦味がありながらも、独特な甘みが残っているので食べやすい特徴があります。
桃の節句でチラシ寿司に散らしたり、おひたしやマヨネーズ和えなどで食べるのがおすすめです。
ハマグリ
ハマグリは二枚貝なので、ご縁を結ぶご利益があることで有名です。
桃の節句ではお吸い物として食べられ、縁起物だからか草木萌動の時期は値段が倍以上になります。
ハマグリのお吸い物にする際は、先に安いうちに買って冷凍しておくと良いでしょう。
大きさもピンキリになりますが桃の節句には、できれば国産のハマグリを買っておいてくださいね。
草木萌動と雨水の関係性とは?
草木萌動を知る上で忘れてはならないのが、雨水の存在です。
雨水って何?「あまみず」じゃないの?と思う人もいますよね。
実は雨水はあまみずではなく、違う読み方をするのです。
草木萌動の意味に通じているところもあるので、雨水と草木萌動の関係性について詳しく見ていきましょう。
雨水とは?
雨水は二十四節気、2番目の季節を表していて読み方は「うすい」といいます。
3月に近づくにつれて、冬の間に降っていた雪もだんだんと雨に変わってきます。
外が暖かくなってくるにつれ、降り積もった雪も溶けて水になっていくのです。
冬から春への季節の変化を感じやすいのが雨水の特徴で前半はまだ冬真っ只中、後半は寒さが和らいで春が訪れています。
雨水は冬の間降っていたのは雪だったのに、いつのまにか春が来て雨に変化していたという意味があるのです。
二十四節気とは?
二十四節気は中国から伝わった一年を24の季節に分けたもので、現代でも季節の呼び方などが色濃く受け継がれています。
ひとつの季節がだいたい15日程度で、3つの七十二候が含まれているのが特徴です。
雨水には初候として土脉潤起(つちのしょううるおいおこる)、次候として霞始靆(かすみはじめてたなびく)、末候として草木萌動(そうもくめばえいずる)があります。
二十四節気の雨水の期間だけで冬から春に季節の移り変わりがあるため、やはり七十二候が細かいとは言われますが必要な区切りなのだと感じますね。
草木萌動と雨水の関係性
雨水は2月19日から3月6日くらいまでを指しますが、草木萌動は雨水の最後の方にくる季節だといえますね。
もう冬は去って、すでに春が顔を出している時期こそが草木萌動となります。
冷たい雪が降ることで草木も寒さから元気をなくしていましたが、春とともに暖かくなって雨が元気のない草木に染み渡るのです。
水を得た草木は元気を取り戻して色づき、新しい芽を出して春の訪れを告げます。
雨水の時期はドキュメンタリー番組が作れそうなくらい、変化に富んでいますよね。
まとめ
草木萌動について意味や時期、旬の食べ物や行事を詳しくご紹介してきました。
二十四節気のひとつである雨水との関係についても見てきた中で、草木萌動が非常に明るい季節だとわかりましたね。
冬が明けて春が訪れることで草木が芽吹くという意味があり、3月1日〜5日の時期にあたります。
旬の食べ物は主に桃の節句に使われ、栄養価の高いものが多いです。
行事としては桃の節句以外にもお伊勢参りが適しているので、暖かくなったら外に出かけてみるのも良いですね。
心身ともにワクワクする季節、ぜひ身近な草木萌動を見つけてみてはいかがでしょうか。