よくテレビなどでも耳にすることが多いのが立秋という言葉です。
今でもカレンダーにはよく立秋が載っていますが、立秋の意味をはっきり説明できるでしょうか?
カレンダーには秋分の日も載っていますが、立秋と秋分はどう違うのか、そもそもなぜ立秋や秋分がカレンダーに載るようになったのか、疑問が出て来ますね。
今回は立秋について解説します。
立秋はいつのことなのか、その意味と一緒に説明します。立秋の季節の特徴や行事についても説明しますから、きっと暮らしに役に立ちます。もちろん秋分との違いも説明しますから、すっきりと納得できますよ。
立秋はいつ?立秋の意味は?いきなり秋本番にはなりません!
立秋は二十四節気の13番目に当たり、毎年8月7日頃になります。立秋はその日1日だけを指す場合もありますが、期間を指すこともあり、その場合は次の節気・処暑の前日の8月22日頃までが立秋となります。
秋の気配が立ち始める日というのが立秋という名前の由来です。
立秋の前の節気・大暑には、夏の暑さが最高潮に達しているという意味がありました。
大暑で最高潮に達した夏の暑さが下降して、立秋で秋の気配が立ち始め、次の節気・処暑で暑さが治まり始めるとされています。
また二十四節気では、立春、立夏、立秋、立冬があり、それぞれの季節の気配が立ち始める日を意味しています。
立秋から立冬の前日までが、二十四節気の秋に当たりますが、日本の8月7日頃は暑さが最高潮です。
立秋に意味があるのかと疑問を感じる人も多いでしょうが、いきなり秋になるのではなく、あくまでも秋の気配が立ち始める日が立秋です。太陽の傾き方や空の雲など、注意深く観察していると秋を見つけられるかも知れませんね。
古今和歌集にも
「秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる」
と暑い中に秋の気配を見つけた和歌が載っています。
昔の人も、暑い夏に疲れ、秋の訪れを待っていたのかも知れないと思うと、親しみが湧いてきますね。
二十四節気が最初に作られた中国では立秋の時期に気温が下がり始めます。これをそのまま日本に当てはめたために、季節がずれてしまいましたが、おかげで日本人の季節の先取りをする能力が磨かれました。
先程の和歌のように、目にはっきりと見えない季節の変化を感じ、美しい和歌にするという能力は二十四節気と実際の季節のずれが生んだのではないでしょうか。
季語として使われる立秋!一足先に秋になる?
立秋は暦のように使われている言葉でしたが、一言で季節の変化を感じさせる言葉のために、季語としても使われてきました。
もちろん初秋の季語に当たり、「秋立つ」、「秋来る」、「今朝の秋」などのバリエーションがあります。
与謝蕪村の句に
「秋立つや 素湯香ばしき 施薬院」
というのがあります。施薬院とは貧しい人々のための治療所です。
秋と聞いた途端に、施薬院ではただの白湯でも香ばしく感じるという内容です。
立秋の前と後でそんなに気温が変化するわけではないのに、急に白湯が美味しく感じられることに、納得できる人も多いのではないでしょうか。
まだまだ暑いと思っていても、季節は確実に秋に向かっていることもこの句は感じさせてくれます。
立秋は手紙の挨拶文にも使うことができます。
「立秋の候を迎えましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか」のように使うと、残暑が厳しい頃でも手紙を受け取る人を一瞬でも爽やかにしてあげることができるでしょう。
ちなみに「爽やか」という言葉は秋のカラリとした清々しい様子を形容する言葉です。
現在はどの季節に使っても間違いではありませんが、やはり堂々と使えるのは秋になってからです。
手紙に「立秋の候」と書くことによって、一足先に爽やかさを届けることができますよ。
しっかり覚えて!実はこんなに違う!秋分と立秋!
ところで「秋分」は立秋とどう違うのでしょうか。同じ秋の文字を使っているために、混同してしまうこともありますね。
秋分はやはり二十四節気の16番目の節気で、毎年9月23日頃になります。
春分とともに秋分は昼と夜の長さがほぼ同じになります(実際には昼が少し長いそうです)。
これを「陰陽の中分なればなり(昼夜半分ずつの意味)」と表現したことが、春分や秋分という名前の由来になりました。
秋分は春分とともに、彼岸の中日に当たります。昔極楽浄土は西にあるとされていました。秋分と春分は太陽が真西に沈むことから、この世が極楽浄土に一番近付いていると考えられていました。
そこで秋分と春分の頃の年に2回を彼岸として、先祖供養をするようになりました。
今でも春分の日と秋分の日は国民の祝日になっています。祝日法という法律では秋分の日について、祖先を敬い、亡くなった人々を偲ぶ日だと定義付けています。
暑さ寒さも彼岸まで、という言葉をよく聞きますが、これは秋分や春分を境目にして季節が移り変わっていくことを意味しています。このことからも秋分は春分とともに季節の境目、分かれ目であることがわかります。
立秋は秋の気配が立つ頃のことですから、秋分とはまったく違うことがわかりますね。
お盆が近い!立秋の季節は行事がたくさん!注意もたくさん?
立秋の頃には何か行事や注意点はあるのでしょうか。
毎年暑中見舞いを出す人は、立秋からは残暑見舞いとなります。暦の上では秋になっていますから、どんなに暑くても残暑という言葉を使います。お中元をおくりそびれた人が、後から何か贈る場合も、立秋を過ぎたら残暑見舞いにしてください。
今は9月に入っても暑い日が多くなっていますが、残暑見舞いをおくることができるのは8月いっぱいまでです。
残暑見舞いをおくるなら、この点にも注意が必要です。
また立秋の頃は8月の中旬も月遅れのお盆をひかえて、その前に各地で盆踊りや夏祭りが行われる時期でもあります。
賑やかなイメージが強い盆踊りは、もともと死者を供養するための行事でした。私たちはたくさんのご先祖様がいらっしゃるから、今存在できているわけです。
お盆の頃は仕事が休みになる人も多く、レジャーに出かけたいと思うかも知れませんが、お盆のときは実家に帰ってご先祖様に手を合わせてみませんか?
先祖を供養するという気持ちを持って参加する盆踊りは、普段とは一味違うはずです。
お盆に実家に帰るのは大変、という人もいるでしょうが、お盆の準備をする実家も大変です。
家の掃除、寝具や食べ物の用意などに加えて、お墓や仏壇の掃除までしなくてはならなくなります。
お墓の草むしりは手伝うよと一言伝えると、きっと実家の家族も喜んでくれるはずです。
普段は顔を合わせる機会が中々ない家族が、顔を合わせることができるのがお盆です。先祖供養だけでなく、家族の絆を強めることも大切にしたいですね。
立秋の季節の暮らし!次の季節も健康に暮らすための、気配りを!
立秋の頃からお盆休みにかけては厳しい暑さの中、外出する機会が増えます。
いくら秋の気配が立つとはいえ、体には思いの外負担がかかります。
暑い夏の間に冷房や冷たいもののとり過ぎで体が冷えてしまっていると、せっかくの秋に不調を感じる原因になります。
冷房の設定温度を低くし過ぎない、冷房の効き過ぎた部屋にいなくてはならないときは、カーディガンやひざ掛けを使うなど自分で冷え過ぎを防ぐ気配りが必要になります。
冷たいものの取り過ぎは胃腸の働きを悪くするといわれています。冷房の効いた部屋では、熱いお茶を飲んでもよいですね。また暑いからといって、シャワーだけでお風呂を済まさずに湯船に浸かって1日の冷えや疲れを取り除きましょう。
自然に体の熱を下げるなら、旬の野菜や果物を摂ることをおすすめします。
例えば秋ナスの濃い紫色は、ナスニンというポリフェノールの1種で、強い抗酸化力があり、ガンや生活習慣病のもとを抑えてくれる働きがあります。そして水分をたっぷり含んだ秋ナスは体を冷やす効果があります。
よく秋ナスは嫁に食わすなといいますが、これは嫁の体を冷やさないための心配りだったという説もあるくらいです。
また立秋の頃の体調を整えるためには桃が効果を発揮します。
桃には整腸作用がある上、血行をよくして体を潤す効果があります。すでに体が冷えていて、果物は心配という人にも桃は安心です。桃は古くから温性の食品に分類されていて、体を冷やす心配はありません。
体の冷やし過ぎや、食べ物に気を配ることで、来るべき秋を元気に迎えられます。このような気配りをするのも、立秋の季節を上手に暮らしていくために必要なことでしょう。
まとめ
今回は立秋について解説しました。
紛らわしい秋分との違いがわかってスッキリした人も多いでしょう。
心がスッキリとしたら、体にも気を配ってあげてください。
立秋の季節の特徴や行事、注意するべきことについても説明しましたので、日々の暮らしの役に立ててください。
立秋の頃から秋本番にかけて楽しい予定が入っている人が多いでしょう。元気に生活していくためにも、ぜひ立秋について正しく理解をして、体をいたわってください。
心と体をいたわって、次の季節につなげていくことが立秋の季節の役割なのかも知れませんね。