今回は仲秋についてご紹介しましたが、いかがでしたか?似た言葉に中秋という言葉もありましたが、別の意味を持つことを初めて知った方も多いのではないでしょうか。
この時期には中秋の名月や重陽の節句、お彼岸や敬老の日など、どれも大切にしたい風習です。
日々の忙しさで見失ってしまいそうになる日本の文化ですが、改めて考える余裕を持ちたいものですね。
夏至の読み方と意味について
夏至の読み方はぱっと見、わからないという人も多いですが、どのように読むのでしょうか。
読み方がわかったところで、意味を説明していきたいと思います。
①夏至の読み方夏(なつ)と至(いたる)ということで読み方も迷ってしまう人が多いのですが、正しくは「げし」と読みます。
昔の暦の中では「夏」を「か」と読む方が圧倒的に多いですが、夏至の場合は「げ」と読むのは何故なのでしょうか。
読み方の違いは、中国の中でも「呉」から伝わったのか「漢」から伝わったのかということです。
呉音は百済から伝わった、中国でも南方系の読み方です。
一方漢音は中国でも北方系の読み方で、奈良時代くらいに伝わったものです。
実は夏至の読み方は呉音なので、他の夏の読み方とは少し違うものになります。
②夏至の意味昔は太陰暦といって月の満ち欠けにより、1ヶ月や季節を決めていた時代がありました。
現代では1年は12ヶ月ごとに区切られていますが、太陰暦で1年を決めていた時代では24当分していたのです。
太陰暦では1年を「二十四節気」といって、24の季節を決めていました。
二十四節気のひとつで旧暦では5月中にあたる季節のことを、夏至と呼んでいるのですね。
二十四節気の中でも特に重要なのが、夏至と冬至、春分と秋分の「二至二分」です。
二至二分の日をもって季節を分けるともいわれ、1年の中でも特別な日になっています。
1年を分ける起点として、夏の場合の至点が夏至というわけです。
漢字を詳しく見てみるとなんとなく意味がわかってきますが、夏至は夏に至ると書きますよね。
夏といえば他の季節に比べて日照時間が長いことで有名ですが、夏至は1年の中で一番太陽が出ている時間が長いという日なのです。
日照時間が長いというだけで気温が一番高いわけではないので、現代の感覚でいうとピンとこないかもしれません。
昔は気温よりも太陽の位置を確認して季節を決めていたので、旧暦5月中を夏至としていたのでしょう。
夏至の日はいつ?日にちは一定ではない!
夏至と聞くと、夏の暑い日のことなのかと勘違いしてしまいがちです。
夏至はそもそも二十四節気で旧暦5月中に設定されている日なので、現代では夏本番に入る前に訪れることになります。
例年は6月21日くらいになることが多いのですが、年によって微妙に日にちが異なるのが特徴です。
夏至の日は毎年同じように感じますが、実はわずかながら違う年もあるのです。
たとえば2018年の夏至は6月21日ですが、2019年は6月22日です。
2020年はうるう年なので、今まではうるう年の前年が22日となるケースが多くありました。
しかし、2020年〜2055年は全て6月21日となり、2056年〜2099年はたまに20日となる日もあるとされています。
1年は365日の年もあれば366日の年もありますが、他にも非常に細かい端数が存在するのです。
夏至の日にちが年によって変わるのは地球の公転が一定でないためです。
次に日照時間と気温の関係について、説明していきましょう。
6月の終わりといえば、日本では梅雨の真っただ中ですよね。
日照時間が長いのに気温が高くならないのは、梅雨も関係しています。
たとえ夏至に雨が降っていなかったとしても、連日の雨で地表の温度が下がっている中では最高気温になることはまずないのです。
夏至の季節を七十二候から見る
夏至の季節とはどのようなことをいうのか、二十四節気を5日ごとに分けた七十二候から見ていきましょう。
七十二候は二十四節気をさらに細かく分けることで、動物や植物の変化の様子を詳しくみることができます。
植物といっても現代ではあまり馴染みのないものも多いですが、夏至をイメージするには適しているのではないでしょうか。
夏至の季節である6月21日〜7月6日にある、3つの七十二候について見ていきましょう。
①乃東枯読み方は「なつかれくさかるる」です。
6月21日〜6月25日、夏至の初候をあらわしてます。
当時の時期に鮮やかな紫の花をつけて靫草(うつぼぐさ)が開花をしますが、夏至の頃にだんだんと枯れてきます。
鮮やかな花が枯れていき、なんとなくもの寂しげな気持ちになるという心が込められているのが特徴です。
②菖蒲華読み方は「あやめはなさく」です。
6月26日〜6月30日、夏至の次候をあらわしてます。
あやめは花菖蒲や杜若と見分けがつきにくい花ですが、あやめが咲く頃には梅雨が始まるという意味が込められています。
植物の開花で季節を感じるのは、日本の心でもありますよね。
③半夏生読み方は「はんげしょうず」です。
7月1日〜7月6日、夏至の末候にあたります。
半夏が生えて、葉の部分が白く変わっていく半夏生が見られる時期を表しています。
半夏生が見られる時期までには田植えを終わらせておくという節目にもあたり、農作において重要な七十二候なんですね。
現代では品種が改良されたことなどにより、半夏生を田植えの目安にすることはないようです。
夏至の日の出と日の入り時間
夏至はどのくらい日の出が早いのか、昼間はどれだけ長いのかを改めて冬至と比較していきましょう。
国立天文台のサイトで簡単に日の出や日没時間をチェックできるので、興味のある人は見てみてください。
2018年の夏至、東京では日の出が4:25で日没が19:00でした。
昼間の長さは14時間35分ということで、1日のうち半分以上が明るい時間ですね。
名古屋では昼間の長さが14時間32分、大阪では14時間29分と西に移動するごとに少しずつ短くなっています。
太陽は東から昇って西に向かって沈むので、西に行くごとに時間が短くなるのは当たり前ですね。
一方で冬至の場合は東京では日の出が6:47で日没が16:32でした。
昼間の長さは9時間45分しかなく、夏と比べると4時間50分もの差があります。
1年のうちに一番日の出が早い日と遅い日を比べると、季節によってこんなに違いがあるのだと改めて思いますね。
夏至と冬至の違いとは?
夏至と並んで季節を感じる二十四節気が、冬至です。
冬至は夏至の逆で、北半球では1年の中で一番日照時間が短い日のことをいいます。
太陽は出ているものの、最も低い場所を通ってあっという間に沈んでしまうのですね。
夏至の場合は太陽が最も南寄りになった東から登り、最も南寄りになった西へと沈みます。
冬至の場合は最も北寄りになった東から、最も北寄りになった西へと沈んでいくのです。
日の出も東京の場合6月21日付近は4:25となりますが、12月22日付近では6:51とかなり差があります。
夏至と並んで季節を感じる二十四節気が、冬至です。
冬至は夏至の逆で、北半球では1年の中で一番日照時間が短い日のことをいいます。
太陽は出ているものの、最も低い場所を通ってあっという間に沈んでしまうのですね。
夏至の場合は太陽が最も南寄りになった東から登り、最も南寄りになった西へと沈みます。
冬至の場合は最も北寄りになった東から、最も北寄りになった西へと沈んでいくのです。
日の出も東京の場合6月21日頃は4:25ですが、12月22日頃では6:51とかなり差があります。
日にちには、2018年の夏至は6月21日でしたが、冬至は12月22日です。
南半球では夏と冬が逆転するため、夏至に日照時間が短くなって冬至に最も長くなるのです。
日本では夏至よりも冬至の方が注目されやすく、ゆず湯に入ったりカボチャを食べたりする風習も有名です。
なぜゆず湯に入るのかというと、銭湯にて「ゆうずうが利く」という語呂合わせから生まれたようですね。
語呂合わせで縁起担ぎをすることが多いので納得できますが、ゆず湯は体を芯から温めてくれるという、実用的な面もあります。
風邪を引きやすい冬至の時期に入るにはピッタリで、季節にも合っているのではないでしょうか。
ふたつの季節の違いを感じながら楽しむのも、1年をメリハリつけて過ごすには最適かもしれませんね。
夏至の日に食べたい食べ物とは?
冬至であればカボチャを食べるなど特定の食べ物のイメージが湧いてくるのですが、夏至はあまり浮かばないですよね。
夏至も、地域ごとに縁起が良いとされる食べ物があるのです。
具体的にどのような食べ物を夏至にいただくのか、地域ごとに見ていきましょう。
①関東地方夏至の時期は小麦がたくさん実るので、関東地方では豊作を祈って神様にお供えする食べ物があります。
新小麦粉を使ってお餅を作り、焼いてお供えをするのが一般的です。
お餅とは言いますが、新小麦粉を使うので「おやき」みたいなイメージです。
②関西地方夏至から11日目に訪れる七十二候の半夏生の時期にタコを食べます。
半夏生といえば農作に関わる七十二候で、田植えの目安にもなっていました。
タコは足が8本に伸びていることから、稲も8本に伸びて豊作となりますようにとの願いが込められています。
8という数字も末広がりを連想させて縁起が良く、さらに関西ではタコ焼きに入っていて、なじみ深いのも理由でしょう。
③愛知県愛知県ではイチジクを田楽にして食べるという習慣があり、半分に切ったイチジクに田楽みそを塗って焼いて食べるのだそうです。
残念ながらなぜイチジクを田楽にするのか、起源はわかってはいません。
④香川県香川県で有名な食べ物といえば、うどんですよね。
夏至の前、5月に収穫した小麦を使用してうどんの麺をこしらえます。
きっとうどん県の香川県では毎日のように食べているものなので特別感はないかもしれませんが、夏至の時期の新小麦粉というところが重要です。
いつも食べるうどんよりもより美味しくいただけるのではないでしょうか。
⑤福井県福井県ではサバの漁獲量が高く、夏至の時期に取れる鯖を半夏生鯖といいます。
半夏生鯖を焼いて食べることで、季節のものを味わいながら縁起担ぎもできるのです。
⑥京都府京都府では「水無月」という小豆を使った和菓子を食べる風習があります。
小豆は昔から厄払いに使われており、水無月は6月30日の厄落とし行事「夏越の祓」で食べられます。
新年が明けてから半年が経ち、一度穢れを落としておくという意味が込められています。
水無月は夏至とは特に関係がないのですが、夏越の祓が夏至に近いということで関連して食べる人が多いようですね。
夏至の日におこなう風習はある?
冬至となるとゆず湯に入るなどの誰もが知っている風習があるのですが、夏至ではあまり聞きません。
聞かないということは、風習はないのかと思い調べてみましたが、見つかりませんでした。
地域によって何らかの風習があるかもしれませんが、日本全体で考えると特にないようです。
お風呂に入れるものも特にないということで、少しさみしいですよね。
厳密な決まりはありませんが、夏ならではの果物をお湯に浮かべて独自の風習を作るのも楽しいかもしれません。
たとえばゆず湯の代わりに夏みかんやレモン、ライムを入れてみるのも良いですね。
さわやかな香りが夏の暑さを和らげてくれそうで、梅雨でジメッとしやすい気持ちも晴れやかになりそうです。
柑橘系は果汁が肌につくと刺激になることもあるので、皮のままドボンと入れるのがおすすめです。
柑橘系は他にも光毒性といって、肌に柑橘系のエキスがついたままお風呂から上がって紫外線を浴びるとシミになりやすい注意点があります。
夏至のお風呂を楽しむ時は、1日の終わりに入るようにしましょう。
風習ではありませんが、沖縄県では夏至の時期に吹く風とともに梅雨が明けて本格的な夏がやってくるのだそうです。
夏至とともに夏が訪れるとは、まさしく夏に至るという意味そのものですね。
沖縄県の方は、風が吹いたら意識してみると季節を感じられて楽しいと思います。
北欧の夏至の日は神秘的!
日本では日照時間が1年で一番長い日として、夜が一番短い日として有名な夏至。
夏至は日本のみならず、世界で注目される日でもあるのです。
ノルウェーなどの北欧やロシアなどの北半球でも北極圏付近に位置する国では、夏至の日になると「白夜」といって一日中太陽が沈まない現象が起きます。
一日中昼間と勘違いしそうですが、厳密には夜なのに太陽が昇っているので明るいという意味です。
地球の公転による垂線に対して地軸が傾くことで発生するため、北半球の場合は夏至の日を中心に白夜が起こるのです。
緯度が関係している現象なので、限られた国でしか見ることはできません。
夏至はなんとなく神秘的な雰囲気がしますが、白夜を見るとさらに魅力がアップしますね。
なかなか北欧やロシアに行く機会はないかもしれませんが、もし夏至の時期に行くことがあれば体験してみると良いかもしれません。
夜は暗くなるもの、という固定概念を断ち切ってしまう現象なので戸惑いと感動で少し混乱してしまうかもしれないですね。
夏至はスピリチュアルな影響を受ける日!
1年で一番日照時間が長いということで、なんとなく神秘的な雰囲気が漂う夏至。
最近では、スピリチュアルな影響を受けていることでも注目されています。
その理由は、少し前の6月6日に穀物の種まきをするところから始まります。
夏至は、芽が出てから20〜22日くらいのタイミングで刈り取りをする時期なのです。
種をまいて新たな命を生み出したのに対して、少し経ったら芽を刈り取ってバランスを取っていきます。
宇宙の法則では「陰」と「陽」のバランスが重要視されており、夏至に最も陽のパワーが高くなります。
夏至を過ぎたらだんだんと陰のパワーが出てきて、バランスがとられていきます。
今まで陰のパワーが強くなっていたところに夏至を境に陽のパワーを強くさせる転換期となるため、よりエネルギーを得やすくなるのですね。
よく6月の終わりにかけて体調が悪くなりやすいという話を聞きますが、エネルギーの変動が強くなるために体調を崩しやすくなるという説もあります。
現実的に考えても梅雨の時期でジメッとしやすく、体調不良になったとしても不思議ではありません。
夏至の日にパワースポットに行くとよりエネルギーを感じやすくなったり、もやもやした気持ちを切り替えやすくなったりします。
疲れた心をじっくり休める日にあてたり、新たな発見を求めて出かけてみたりするのもおすすめです。
夏至の頃に自分を見つめながら新しいことを始めてみてはいかがでしょうか。
夏至に関連した日本のお祭りとは?
世界に比べて日本では夏至に対する関心が少ないのですが、関連したイベントやお祭りをおこなっています。
どんなお祭りがおこなわれているのか、詳しくみていきましょう。
①三重県三重県伊勢市にある二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)にて、朝日を見るイベントがあります。
ただの朝日だけではなく、二見浦の夫婦岩の間から登っていく朝日を見るのです。
夫婦岩の間から朝日が拝めるのは、夏至を挟んだ1ヶ月間のみなんですね。
②北海道北海道当別市にて、異国情緒あふれる夏至のお祭りが開催されています。
スウェーデンのお祭りを再現しており、ダンスやショーで盛り上がります。
食が充実している北海道ならではのオリジナルプレートも楽しめて、多くの観光客が訪れるので有名です。
③日本全国なかなか出かけてまでイベントにが参加するのは難しいという人向けに、家にいながら夏至の日を感じられるお祭りがあります。
100万人キャンドルナイトは2003年から続いているイベントで、家の灯りを消して節電を心がけるものです。
20〜22時の間は電気を消してキャンドルの灯りのみで過ごそうということで、参加してみるのも楽しそうです。
夏至に関連した世界のお祭りとは?
夏至は日本だけのものではなく、神秘的なものとして世界各国でお祭りがおこなわれています。
具体的にどのようなお祭りがおこなわれているのか、みていきましょう。
①フィンランドフィンランドなどの北欧では緯度が高いため、夏至には白夜となって一日中明るくなります。
白夜の日にはフィンランドでは焚き火をしながらお酒を飲んで、多くの人がパーティをするために夏休みに入るのです。
夏休みに入るのと同時に白夜でもあるというのは、歓喜してお祭りになるというのも納得ですね。
②スウェーデンスウェーデンでもお祭りが盛んで、長いポールを立てて豊作への祈りを込めます。
酢漬けやネギのサワークリーム添えなど、保存がきく食べ物を持ち寄ってパーティを開くのが一般的です。
レクサンドのお祭りが一番有名で、観光客も多く盛り上がります。
③ロシア北欧と同じく緯度が高く白夜になるロシアでは、イワン・クパーラというお祭りが開かれます。
キリスト教の前身からおこなわれており、みんなで頭を下げながら豊作や長寿を願うのです。
④リトアニアリトアニアも大きな焚き火をたいて、豊作を願います。
焚き火の火が遠くへ行くほど願いが叶うといわれており、人々の活気も高まる日です。
不思議なことに夏至を期に結婚をしたり、子どもができたりすることも多いのだそうです。
⑤オーストリアオーストリア周辺の諸外国では五月祭がメインですが、オーストリアでは火祭という夏至のお祭りが盛んです。
オーストリアの特徴は夜に山頂から焚き火をすることで、夜の青い空に輝く赤い火が幻想的な雰囲気を醸し出します。
まとめ
夏至はいつなのか、読み方や意味と合わせて食べ物や風習などをご紹介してきました。
夏至は「げし」と読み、1年の中で最も日照時間が長い日のことで、年によって6月21日前後とズレがあります。
地域ごとに食べたりお供えしたりする食べ物が異なり、さらに風習も特にないなどあまり目立たない季節の節目です。
世界では夏至を祝って大規模なお祭りやパーティが開かれており、日本でも少ないながらお祭りが開催されています。
スピリチュアルな影響も受けているなど興味深いことが意外に多い夏至ですが、良く知ることでより楽しく過ごせそうです。
当時との昼間の時間を比べながら、じっくり過ごしてみるのも良いでしょう。
夏至がもっと盛り上がるように、まずは節電しながら短い夜を楽しみたいですね。