冬至といえば冬を代表するイベントのひとつとなっており、かぼちゃを食べたりゆず湯に入ったりするなど世間一般にも浸透しています。
ただ、具体的な時期はいつでどんな意味があるのかに関しては、まだまだ詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか。
今回は冬至の読み方や意味について、食べ物はかぼちゃを食べたりゆず湯に入ったりする意味を詳しくご紹介します。
冬至の読み方は何?
冬至と書いてどのような読み方をするのか、最初は迷ってしまいますよね。
正しい読み方は「とうじ」といいます。
冬至はニュースなどでも取り上げられることが多く、食べ物やゆず湯などが話題に上がりやすいので耳にする機会も多いかもしれません。
冬至は二十四節気のひとつで、冬に至る日という意味があります。
昔は太陽の位置などの通り道を「黄道」として、黄道をもとに季節を24に区切っていたのです。
季節の区切りの中でも冬至と夏至の2つと、春分と秋分の2つは特別な日として大きな意味を持ちます。
二十四節気の大雪(たいせつ)と小寒(しょうかん)の間にあり、山の上に雪がかぶり始めて本格的な寒さが訪れようとしている時期なのです。
冬至はいつでどんな意味がある日なの?
冬至の読み方がわかったところで、具体的にいつ頃のことでどんな意味がある日なのかを見ていきましょう。
冬至は、北半球において1年の中で一番日照時間が短い日です。
太陽が低い位置にしか登らないので、登ったと思ったらあっという間に沈んでしまいます。
年によって異なりますが、だいたいは12月21日あたりです。
2022年の場合は12月22日ですが、地球の公転は一定ではないので、毎年少しずつズレがでてくるのですね。
そろそろ寒さが強まる時期ということで体を温める作用のあるかぼちゃを食べて栄養を蓄え、ゆず湯に入って体を温める風習があります。
寒い季節ならではで、理にかなった風習があることで知られています。
冬至の日の出と日の入りに関する勘違い
冬至の日の出と日の入りに関しては、意味を勘違いしている人が多いのではないでしょうか。
冬至の本来の意味は「1年の中で一番日照時間が短い日」なのですが、日の出が遅くて日の入りが早い日だと思われがちです。
詳しい冬至の日の出と日の入り時間を見てみると意味がわかりやすいので、みていきましょう。
2022年の冬至の日、東京の場合は日の出時間が6:47で日没時間が16:32となっています。
日の出や日の入り時間は国立天文台のホームページで簡単に調べられるので、気になる人はチェックしてみてください。
東京の場合、冬至の日の昼間の長さは9時間45分です。
昼間の長さを地域別に見た場合、名古屋では9時間47分で大阪の場合は9時間50分です。
太陽は東から登り西へと沈んでいくので、西方面へ行くにつれて日の出や日没時間は遅くなって日照時間も長くなるのです。
日の出が1年で一番遅くなるのは東京の場合、近いタイミングだと2023年1月2日〜13日の6:51です。
日の入りが一番遅くなるのは2022年の11月29日〜12月13日で、16:28です。
どちらも冬至とはタイミングがズレているので、冬至はあくまで「日照時間が1年で一番短い」というだけなんですね。
勘違いしやすいポイントなので、間違えないようにしましょう。
冬至と夏至の違いとは?
冬至と同じように、二十四節気で季節の区切りとしてあるのが夏至です。
冬至と夏至は似たような響きですが意味は全く逆で、夏至は「1年で一番日照時間が長い日」なのです。
冬至と夏至で昼間の長さを比べると、4時間50分も差があります。
夏至は毎年6月21日前後になることが多く、冬至とだいたい半年ほど離れているのが特徴です。
冬至はかぼちゃを食べたり、ゆず湯に入るなど風習が世間一般に浸透していますよね。
夏至は食べ物や風習に関しての決まりごとはありません。
強いて言うなら、北欧などの北極圏に近い外国などでは一日中明るいままの「白夜」という現象が起こります。
白夜は神聖なものとして人々に崇められているため、世界各地でお祭りが開かれることが多いのです。
夏至の1ヶ月後にくる半夏生(はんげしょうず)に近畿地方ではタコを、香川県ではうどんを食べる習慣があります。
夏至は穀物などの農作物が豊作になるよう、願いを込めて過ごすことが多い時期です。
一方で冬至はこれからくる本格的な寒さに向けて、体調を整えるという意味合いが大きいのですね。
冬至はスピリチュアルな面でも良い日!
冬至は別の言い方で「一陽来復」ともいわれていますが、どのような意味があるのでしょうか。
昔は季節を太陽や月の動きや位置で暦を決めていた、太陰暦や太陽暦を採用していました。
太陽がパワーを持っていると信じられており、運気なども太陽により変わるといわれていたのですね。
冬至は太陽が一番低いところにあるということで、パワーが最も下がっているときなのです。
太陽が低い位置にあると、パワーも下降気味であまり良いイメージはないですよね。
ポジティブな考え方をすると、最も下がっていたとしても後は上昇していくだけとも考えられます。
冬至を境に運気がアップしていき、太陽のパワーもだんだんと上がってくるのです。
寒くはなりますがあとは気温が上がるだけなので、一度落ちたパワーを取り戻せます。
冬至を機に運気がアップするという縁起の良さで、一般的にも浸透してきている理由がわかりますね。
普段スピリチュアルなことに興味がない人でも、冬至の意味がわかれば気持ちまでハッピーになるのです。
冬至に運盛りをして運気アップ!
パワーが下降気味なのは冬至の日でおしまい。
ひと区切りして次の日から新しい気持ちでスタートする意味が込められた「一陽来復」。
一陽来復の意味から「いろはにほへと」の締めである「ん」は、新しく運気を上げてスタートしていく願いが込められています。
冬至では「ん」が名前につく食べ物を食べると運気アップが期待できるといわれているのです。
うどんやにんじん、ぎんなんなど「ん」がつく食べ物は縁起が良いとされ、中でも冬至の七種と呼ばれる食べ物をお供えすることを「運盛り」といいます。
同じようなものに土用の丑の日に食べるウナギが挙げられますが、縁起が良いだけでなく健康に良い食べ物であることが特徴です。
数ある「ん」がつく食べ物の中でも、にんじん、れんこんなど「ん」が2回使われている食べ物は特に良いといわれています。
運盛りに欠かせない冬至の七種は南瓜(なんきんと読み、かぼちゃのこと)や蓮根、人参と銀杏、金柑、寒天と饂飩(うんどんと読み、うどんのこと)です。
「ん」が2回繰り返されると運を二重に取り入れられるので、さらに運気がアップすると考えられています。
冬至にかぼちゃを食べる理由とは?
冬至といえば、多くの人はかぼちゃを食べるという基礎知識を持っているのではないでしょうか。
そもそもどうして冬至の日にかぼちゃを食べるのか、理由をみていきましょう。
かぼちゃはぱっと見、冬至に良いといわれる運盛りではなさそうですよね。
運盛りではなさそうですが、かぼちゃを漢字で書いてみてください。
かぼちゃは漢字で「南瓜」と書きますが、読み方を直して「なんきん」としているのです。
「なんきん」は紛れもなく運盛りで、冬至に適した食べ物ということですね。
漢字に「南」が使われているのもポイントで、陰の方角である北から陽の方角へ移動して運気がアップする意味も込められています。
冬至の時期は風邪を引きやすいですが、かぼちゃはβカロチンやビタミンが豊富で風邪を引きにくい体を作ってくれるのです。
かぼちゃといえば夏から秋にかけての野菜ではありますが、カットをせずにそのまま保存すれば長持ちします。
冬にも栄養たっぷりの、風邪予防に最適なかぼちゃを食べられるよう昔から考えられていたのですね。
冬至に良いかぼちゃ以外の食べ物
冬至に食べたい食べ物といえばかぼちゃですが、かぼちゃや「ん」がつく食べ物以外にも縁起が良いおすすめのものがあります。
食べることで運気がアップしたり、栄養を体に取り入れたり良いことがたくさんあるのです。
具体的にどのような食べ物が冬至におすすめなのか、みていきましょう。
①冬至粥冬至粥という冬至に食べると良いおかゆがあるのですが、
縁起が良い食材の小豆を使っています。
小豆といえば赤い色をしていますが赤は昔から
邪気を祓う色として使われており、冬至に適しているのです。
冬至に邪気を祓う食べ物を食べることで、次の日から徐々に運気を上げて
活動できるようになります。
かぼちゃと小豆を一緒に煮付けた「いとこ煮」も最適で、硬い小豆を
おいおい入れて(甥)めいめい煮込んでいく(姪)ことから名付けられました。
甘くて美味しいので、冬至の日のおやつ代わりとしても食べられています。
②こんにゃく冬至にこんにゃくを食べるといいと
聞いたことがある人もいるかもしれません。
こんにゃくといえば食物繊維が豊富なので便秘解消に役立ちますが、
体の中の砂を取るともいわれています。
体の老廃物を取ることを「砂おろし」と呼んでいて、
胃腸の余分なものをなくすことでスッキリと暮らせるのですね。
冬至にゆず湯に入る意味とは?
冬至の日にゆず湯に入るのは、スーパーなどでもゆずを大々的に売り出しているので知っている人も多いのではないでしょうか。
そもそも冬至にゆず湯に入る意味はどのようなことなのか、入り方はどうしたら良いのかなどが気になりますよね。
冬至のゆず湯について把握して、より楽しめるようにしましょう。
①ゆず湯の意味ゆず湯が冬至の日に良いとされる理由は、
縁起の良い語呂合わせからです。
ゆずは「融通(ゆうずう)が利く、
冬至は「湯治(とうじ)」に掛けられているのですね。
今でこそ毎日入浴をする人が多いですが、
昔はお風呂に入れる日は限られていました。
厄祓いができる冬至の日に向けて、体をきれいにして身を清めるために
ゆず湯に入ったのがはじまりとされています。
なぜゆずをお風呂に入れるのかというと、ゆずは皮から
強い香りを放っているので邪気をまといにくいといわれているのです。
端午の節句に菖蒲湯に入る習慣がありますが、菖蒲も香りが強いので
ゆずと同じく邪気をまといにくいのが理由なんですね。
もうひとつ、ゆずは実が成るまでに長い年月を費やします。
ゆずをお風呂に入れることで「長年の夢が叶うように」という願いが叶う
といわれているのです。
冬至は大寒に入る前ということで、これから本格的な寒さがやってきます。
ゆずに含まれるクエン酸が血行を良くしていき、
体が温まることで免疫力を高めて風邪予防をしていくのです。
美肌効果やリラックス効果など、ゆず湯に期待できる効果はたくさんあります。
冬至にゆず湯に入るのは、縁起の面でも体の面でも良いことだらけというわけですね。
②ゆず湯の入り方ゆず湯の入り方は家庭によって、さまざまなものがあります。
・丸ごとゆずを入れる
・半分に切ってゆずを入れる
・半分に切ったゆずを袋に入れる丸ごとゆずを入れるのは
贅沢な気持ちになりますが、たくさんのゆずを使用する必要があります。
家庭用のお風呂であれば、5〜6個は入れたいところです。
半分に切ってゆずを使用するのはゆずの香りや成分がたくさん出て良いのですが、
肌が弱い人は刺激を感じることがあります。
タネや皮の片付けも大変なので、もし肌への刺激が心配なら丸ごと入れるのがおすすめです。
袋に入れる方法はゆずを見ることができないので少し雰囲気は出にくくなりますが、掃除はしやすいというメリットがあります。
好きな方法で、冬至のゆず湯を楽しめると良いですね。
冬至がクリスマスのルーツって本当?
日本全体がお祭りムードになるクリスマスは、実は冬至がルーツともいわれています。
北欧の国では冬至や夏至の日照時間の差が大きく、神秘的な日だとされてお祭りがおこなわれていました。
冬至が近づくと太陽が低くなるため、同時にパワーも落ちて悪霊の力が強くなっていきます。
冬至の日から太陽の力が強くなって、悪霊の力に打ち勝つことができるようになるのです。
太陽の力が復活することを祝う祭りのことを「ユール」といい、大きな薪をイメージした木の幹である「ユールログを燃やしていきます。
ユールログの火をみんなで囲みながら12日間、美味しいものを飲んで食べてお祝いしながら楽しむのです。
ユールログを燃やすことで火が悪霊を追い払ってくれると伝えられて、次第に他のヨーロッパ諸国に広まっていきました。
北欧のユールがキリスト教と合わさって、現代のクリスマスになったのですね。
クリスマスにはブッシュドノエルという木の幹をイメージしたケーキを食べますが、実はブッシュドノエルはユールログを模したものなのです。
現代でも北欧ではクリスマスのことをユールと呼び、ブッシュドノエルを食べる習慣があります。
日本では冬至とクリスマスはほとんど関連づけられておらず、単なる外国のお祭りのひとつとして楽しまれています。
実際のところ無宗教の人たちが多いのに、クリスマスで盛り上がる点が証拠といえますね。
冬至におこなわれていた古代のお祭り
冬至を特別なものとしてお祝いしているのは、実は古代からおこなわれてきたことなのです。
古代からおこなわれてきた冬至のお祭りが、現在も続いていたり影響を受けていたりするのは凄いことですよね。
具体的にどのようなお祝いがされていたのか、詳しくみていきましょう。
①メソポタミア文明冬至がおとずれる頃にはどんどん寒さが増してきますが、
寒さは混沌の世界に住む怪物の仕業だと考えられていました。
怪物と闘うのが太陽神マルドゥックで、死んだメソポタミア王が蘇って
マルドゥックとともに協力するのです。
実は王は本物ではなく罪人で、本物の王がマルドゥックに忠誠を誓うために
身代わりとなってはじめから死ぬ運命なのですね。
主人と召使が入れ替わるという内容のお祭りは、メソポタミア文明の他にも
古代バビロニアなどでもおこなわれていました。
マルドゥックが怪物と闘う12日間で、冬至のお祝いが開催されていました。
②古代中国二十四節気のもとである太陽暦や太陰暦を日本に伝えたのは中国で、
日本でも中国の思想などの影響を強く受けています。
古代中国では冬至の日が暦の最初の日だと考えていましたが、
後に研究の発達などから特に冬至を新年としなくても良いという結論に至りました。
中国では冬至の日に小豆を炊いて、赤色の魔除け効果で
最も太陽の力が弱る日を乗り越えます。
冬至の次の日は、太陽の力が戻る日として
大々的にお祝いのお祭りがおこなわれるのです。
③古代ローマ古代ローマの冬至では、暗闇を追い払うために
ドンチャン騒ぎをして楽しむお祭りが開催されていました。
仕事や学校はもちろん休みで、誰もが飲んで食べて歌って踊って
大騒ぎして暗闇を追い払います。
12月17日〜25日までおこなわれて、日にちからも想像ができますが
クリスマスに近いこともしていました。
たくさんの人々が仮装をして、知り合いの家に行って
プレゼント交換をしたり豪華な食事を楽しんだりしていたのですね。
プレゼントの中でも特に人気だったものは月桂樹の枝で、
幸運を呼ぶということで交換には最適なものでした。
子供には小さな粘土の焼き人形をプレゼントされ、
お金持ちは宝石などを交換していたそうです。
海外での冬至の過ごし方とは?
日本ではかぼちゃを食べてゆず湯に入るなど、
お祭りをしてお祝いをするというよりかはまったりしたイメージがあります。
海外では日本とはひと味違った冬至の過ごし方があるので、4つの国についてみていきましょう。
①ラトヴィア
ラトヴィアでは冬至の日は太陽が少しの間しか登らないため、
暗闇を厄として考えています。
厄祓いのために街に落ちている木をみんなで集めて、
焚き火をして囲んでいくのです。
みんなで手を繋いで大きな円をつくり、焚き火を囲んでいきます。
それぞれが動物などの衣装を着て歌ったり踊ったりすることで、
楽しく厄を追い払うのと同時に福を取り入れるんですね。
②韓国
日本のお隣、韓国では冬至が訪れる冬になると
鬼がやってくるといわれています。
鬼を追い払うために、冬至になるとぜんざいを食べるのだそうです。
ぜんざいの中に入っているお餅(セアルシム)を庭にまくことで、
鬼が家に入ってくるのを防ぐのですね。
韓国では旧正月やお盆など節目の時には
お餅を食べる習慣があり、たびたび当時します。
③台湾
台湾では冬至の日は、家族みんなで湯圓というお団子をいただきます。
湯圓には一家団欒という意味があるので、
家族みんなで食べることが重要なんですね。
冬至に紅白の湯圓を食べると、1年歳をとるといわれています。
家で手作りをしたり冷凍食品があったり、専門店で食べる人もいるそうです。
④イギリス
イギリスでは南部にあるストーンヘンジで、
冬至のお祝いをするために多くの人が集まります。
太陽が昇るのと同時に楽器や歌による演奏がスタートして、
賑やかにお祝いをするのです。
古代遺跡であるストーンヘンジには、毎年さまざまな国々から人が集まってきます。
まとめ
冬至の読み方や意味について、食べ物はかぼちゃを食べたりゆず湯に入ったりする意味を詳しくご紹介してきました。
冬至は「とうじ」と読み、1年の中で一番日照時間が短いという意味があります。
夏至は冬至の真逆の意味なので、なにかと比べられやすいですよね。
日本では冬至にかぼちゃを食べたりゆず湯に入ったりするのが有名です。
その他にも「ん」のつく食べ物を食べたりこんにゃくを食べたりするのも縁起が良く人気です。
冬至はクリスマスのルーツになっているということで、ブッシュドノエルの起源もご紹介しました。
海外でも古代から現代に至るまで、さまざまな国でお祝いやお祭りがおこなわれています。
日本よりも盛大におこなわれているものもあるので、海外の文化も調べながら冬至を過ごすと良いかもしれないですね。
冬至のことを詳しく知った上で過ごせば、いつもより何倍も楽しめると思います。