昔は葬式や法要といえば、人が大勢集まるというイメージがありましたが、近年では家族や親族など身内で済ませるという傾向が強く、有名人でも「既に葬儀は身内で済ませている」というパターンを多く見聞きするようになりました。
こういった方法が最近の法要のトレンドなのでしょうか?ここでは、最近の法要についてを詳しくご紹介します。
最近の法要の傾向は?
核家族化が進んでいる現代では、普段からやり取りや付き合いのある菩提寺があるという家庭は非常に少なくなっています。
特定の神社仏閣に、事ある毎に足を運び相談をするという機会も減っています。
菩提寺を持たなくても、葬儀社が葬儀や法要の手配をしてくれるのです。
そのため、家族が亡くなった際の法要も、簡単なもので済ませるという傾向が強くなってきています。
通常、弔い上げは三十三回忌や五十回忌とされ、それ以降の年忌法要は省かれます。
しかし、近年では年忌法要も、三回忌までで終わらせるという家庭も増え、簡素化が進んでいます。
法要の簡素化が進む裏には、やはり家族や親族同士の繋がりが希薄になっていきていて、皆で集まるということをしない点にあるとも言えます。
また、生きている人間が最優先と考えているのも大きな理由です。
法要で手間やお金を使うよりも、今生きている自分や家族のことを優先に考えます。
中には、法要どころか、葬式自体を執り行わない家庭もあります。
法律上では、誰かが亡くなると死亡届けを出し、火葬をすれば良いということになっています。
必ず葬儀を執り行うという決まりはありません。
大手葬儀社でも「火葬式」と銘打って法要をしない新しいスタイルを押し出しています。
信仰する宗教が無い場合は、特に法要をする必要はないと考える人も多いので、こういった簡素なものが人気を得ています。
簡易的な葬儀の種類と流れ
葬儀社では、様々な葬儀スタイルを揃えています。
◆火葬式(直葬)・・・火葬をメインとしたもので、安価に行えます。
自宅や病院などへ遺体を迎えに来てもらい、会場まで運びます。遺体安置をして、納棺をしたらお別れの儀式をして火葬へ向かいます。
◆一日葬・・・告別式と火葬を一日だけで行い、お通夜を省いたものです。
前日に遺体を安置し、二日目に納棺の儀式、告別式、初七日法要、火葬を行います。
◆一日葬(夕刻)・・・先に通夜を省いた火葬をした後、お骨にした状態で18時以降に告別式を行います。
前日に遺体を安置し、二日目に納棺の儀式、お別れの儀式をし、火葬を行います。
火葬の後、夕方18時以降に告別式と初七日法要を行います。
◆家族葬・身内葬・・・家族だけ、身内だけが参列する場合に行う規模の小さ目なお葬式です。
概ね30人未満と60人未満で金額が分かれます。
葬儀の内容は、一般的な葬儀と同じものになります。
◆一般葬・・・一般的な葬儀です。
参列者数も~100名となっています。葬儀の内容は一般的な流れで行われます。
このように、様々な状況に合わせて葬儀を選ぶ事ができるようになっています。
参列者や家族の意向により最適なものを選ぶと良いでしょう。
法要を簡単に済ませるやり方
現代では高齢化により、会社員生活を引退してある程度時間が経てから亡くなる人も多く、家族や親族が年を取っていることはもとより、お付き合いのある人が少なくなってから亡くなるという人も増えています。
そのため、法要に招くような親しい関係性の人も少なくなっていて、法要はなるべく簡単に済ませたいという意向の家庭も多いのです。
特に一周忌以降の法要は、親族までは招かずに家族のみで行うという場合も多く、会食なども省いています。
法要は、その家庭の考え方でこじんまりと行うことが可能ですが、法要をする際には規模はどうであれ、僧侶への御礼だけは忘れないようにしましょう。
家族だけでの法要
法要を自宅で家族だけで行う場合には、必ずしもブラックフォーマルを身に付ける必要は無いと言えます。
読経をお願いする僧侶と話し合い、「平服で構わない」という話になれば地味な服装で構わないのです。
特に、暑い夏や、寒さの厳しい冬にはその季節に合わせた地味な服装で良いので、事前にお伝えしておくと良いでしょう。
もちろん、家族だけで行う法要であれば、会食も必要ありません。
僧侶にはお布施とは別にお車代、御膳料を包んでお渡ししましょう。
家族だけで行う法要だからといって僧侶へのお布施などを少なくしてしまう家庭もありますが、それは間違いです。
お布施はどこで何人で法要を行っても、基本的に同じだけお渡しするようにします。
また、お寺に出向かず、自宅へ来てもらう場合には、お車代をお渡しするか、往復タクシーを手配します。
法要への参加を断る際のマナー
核家族化や高齢化社会により、簡易法要が多くなっている昨今ですが、親族から法要の場に招かれることもあるでしょう。
親族の法要に招かれたのであれば、都合を付けて出向くのが基本です。
しかし、遠方であったり、体調が思わしくないなど、参加に支障が出る場合は、やむなくお断りすることになります。
法要への参加を辞退する場合には、先方になるべく早めに伝えることがマナーであり大切です。
往復ハガキなどで案内が来た場合は、そこで不参加の旨を書いて返送します。
返送が出来ない場合は、電話などで早めにお伝えしましょう。
また、欠席する際にも仏花や御香典などを当日までに贈るようにします。
不祝儀袋に入れ、現金書留でお詫びの言葉を添えて贈りましょう。
法要欠席の際のお詫び状の書き方
法要をやむなく欠席する際には、御香典と共にお詫び状を付けると非常に丁寧です。
お詫び状にはどんなことを書いたら良いのか迷ってしまいますよね。
そんな時は、これらの内容を盛り込むと自然な文章になります。
- 法要に招いていただいたことに対する感謝の気持ち例:「この度は、亡き○○様の一周忌法要にお招きいただき、誠にありがとうございました。」
- 欠席の理由欠席の理由は「諸事情により・・・」「やむを得ない事情で・・・」などと書き、細かい事情は書かない。
- 贈るものの説明例:「心ばかりの物を同封させていただきます。御仏前へお供えいただけると幸いです。」
- 欠席することのお詫び例:「また改めてお伺いできたらと思いますが、取り急ぎ書面にてお詫び申し上げます。」
長々とお詫び文章を書く必要はなく、簡潔なもので構いません。短くても気持ちの伝わる文章を心掛けましょう。
最近の引き出物は?
法要の際には、香典や供物料などを頂くことがあります。
通常、それらに対しお返しをするのですが、引き出物にも最近のトレンドがみられます。
昔は、お茶やお菓子、海苔、石鹸など賞味期限や消費期限が長く、使ったら無くなるものが好ましいとされていましたが、現在では、渡した相手に喜ばれる物を考えて贈ることが増え、かさばらず、万人受けするカタログギフトなどが人気です。
また、お菓子なども量より質で選ぶ人が増えました。
贈る相手の家族構成や年代を考え、内容を変えるということもあります。
法要の強要には要注意!!
お寺によっては、檀家が法要を行わないと強要をするようなところもあると言われています。
「法要を行わなければ祟りが起きる」「故人が可哀想だ」などと嫌がらせのようなことを言ってきたり、その後冷遇に遭ったり、他の檀家を巻き込み嫌がらせをするということもあるのです。法要をするしないは斎主の考え方ですので、全てお寺の言う通りにすることはありません。
しかし、そうしたトラブルを防ぐためには、初めから自分の意向を明確に伝えておく必要があります。
例えば「三回忌以降の法要は行わない」「一周忌以降は自宅で家族だけで法要をしたい」などです。
極端な話であれば、代替わりで檀家を辞めるという選択もあります。
現代では、親の宗派を子供が必ず受け継ぐということも絶対ではありませんので、檀家を辞めるという家庭も増えています。
必ずしも強要をしてくるお寺ばかりではありませんが、中にはそういった被害を被ってしまう家庭もあるのです。
言われるがまま法要を全て行っていては、毎年のように準備が必要になりとても大変です。
自分の家庭の考えをまとめ、お寺側に伝えておきましょう。
法要の相談は早めに
生きているうちに葬儀や法要の相談をするのは縁起が悪いと避けていた家庭も多いのですが、最近では早めの相談をする家庭も増えました。
自由葬や樹木葬、海への散骨など様々な方法があるため、故人の希望するものがすぐに見つかるとは限りません。
そのため、事前にリサーチし、葬儀の形から納骨までを受入れてくれる所を探しておくと安心です。
まとめ
最近では、核家族化や高齢化が進み、法要の内容も変化してきました。
費用を抑えたシンプルなものが多くなり、家族や親族だけでこじんまりと行うのが主流となってきています。
また、年忌法要もあまり長い期間行わず、家族だけで数回で終わらせるという家庭も増えました。
今後も高齢化社会で葬儀や法要がどんどん変わっていく可能性があります。
自分達の納得できる法要を選ぶようにしましょう。