お墓参りに行く際に、目に入る方が多いのが卒塔婆です。
墓の後ろにある文字が書かれている木の板を卒塔婆といい、長さは2m前後です。
卒塔婆は基本的に故人の供養のために経てるもので、お彼岸などの特別な時によく見かけます。
こちらでは、卒塔婆をなぜ仏教で立てる必要があるのか?などについて、解説していきます。
概要
墓参りで良く見る、墓石の後ろにあり大人の1~2mほどの木材を卒塔婆といいます。
法要時に卒塔婆を立てることは「卒塔婆供養」といいます。
死んだ後の世界を良いものにしてほしいという、追善供養で立てます。
もともと塔婆を立てることは故人や先祖の冥福を祈るという意味がありますが、それ以外に「徳を積む」という意味が含まれています。
これは故人のためにも祈る側にも善行為となり、得を積むことができると考えられています。
また卒塔婆には故人に対する文字が書かれていることがほとんどで、大体は仏の弟子の名「戒名」と「経文」などが書かれています。
戒名や梵字をじはじめ、多くの文字が卒塔婆に書かれているのには、実は深い意味があります。
ただし卒塔婆を必要としない宗派もあるので、法要に卒塔婆が必要かどうかは親族の方に事前に確認する必要があります。
卒塔婆の起源はサンスクリット語
卒塔婆という言葉は、サンスクリット語が由来となっています。
タイやカンボジアなどで、先が尖がっている仏舎利のことを「ストゥーパ」と呼びます。
ストゥーパの呼び名が漢字表記で、「卒塔婆」となったのです。
仏舎利を安置する塔のことを昔からストゥーパと呼び、仏教で大事にされたものでした。
日本でいう五重塔は、ストゥーパが入ってきたことでつくられました。
浄土真宗には卒塔婆文化はない!
他宗教では卒塔婆を立てる習慣がありますが、浄土真宗にはありません。
それは浄土真宗の考え方が「亡くなったとは全員浄土に行く」、というものだからです。
そのため追善供養や徳を積まなくても良い、という思考が理由です。
卒塔婆の相場を解説
卒塔婆は供養として立てるものですが、費用がかかります。
平均的な相場は3千円から2万円と幅が広いのが特徴です。
頼みたい時には法要を執り行ってもらう寺、または霊園に相談をし「卒塔婆代」「お布施」として渡すことが通例です。
また卒塔婆は一度立てたら終わりというものではないので、お盆などの法要を行うと増えていきます。
回数が増えると、卒塔婆がきちんと立てられなくなるので、頃合いを見てお炊き上げなどをして処分をすることが必要です。
卒塔婆に書かれている文字を知る
卒塔婆には長い文章のようなものが墨汁、また最近ではプリントで書かれています。
この文字の意味は以下の通りです。
- 戒名…故人がつけてもらった仏の弟子としての名前
- 没年月日…故人の命日
- 経文…宗派によりますが、仏教の経文が記されていることがほとんど
- 梵字…空・風・火・水・地いう意味を表現した意味の梵字がかかれ、供養の日の縁で選ばれた字
- 施主の名前…卒塔婆をお願いしている人物
- 供養の日…卒塔婆が立てられた日
卒塔婆は手紙としての役割を果たす
卒塔婆は故人のあの世での生活をより良いものにと願うのが目的ですが、祈る側の徳になるともいわれています。
また「遺族の現在の状況をあの世にいる故人に伝える」という意味も、卒塔婆にはあります。
卒塔婆は亡くなった故人に伝えたいこをと伝える、会話の役割なのです。
お経にのせた現代の近況レターを届けるのが、卒塔婆です。
あて先は戒名、施主が送り主となり、法要時に行われる僧侶の読経を聞きながら現在の遺族の近況などを心の中で伝えます。
また梵字で「大日如来(バーン)」が、板の後ろ部分に記されます。
仏教では大日如来は宇宙そのもの、または心理を表す仏様だといわれているので、卒塔婆を立てることでその手紙が故人に届くと信じられているのです。