「荼毘に付す」という言葉を、たまにメディアなどで耳にします。
この「荼毘に付す」は「火葬」を表現している仏教用語ですので、他の宗教では使わないということを覚えておきます。
最近では火葬の意味以外に埋葬全体の意味を表すこともある「荼毘に付す」について、こちらではインドでや仏教上の意味や歴史などをまとめていきます。
概要
荼毘に付すという難しい言葉は、もともとは日本語が語源ではなく外来用語の1つです。
実は仏教用語で伝来した言葉、「dhyāpayati」を「だび」と呼んだのです。
火葬を表現する言葉が「dhyāpayati」とされていますが、実は仏教発祥のインドでは火葬以外の埋葬方法があります。
ただ日本では現在埋葬法があるため、火葬以外の埋葬は法律で許されていません。
そこで荼毘という言葉と火葬が、人々の間でイコールになったと考えられています。また仏教以外の宗教では、「荼毘」という言葉は使わないので注意します。
荼毘と「dhyāpayati」の関係性を解説
荼毘はパーリ語の「dhyāpayati」を指します。
読み方は「ジャーペーティ」といい、昔の日本で「だび」に変わります。
伝来した時に日本人が音だけで漢字にしたのです。
上座部仏教で使われているのがパーリ語で、上座部仏教はおもにスリランカやカンボジア、タイなどに広まった仏教の種類の1つです。
稀に、パーリ仏教ともいわれますが、これはパーリ語の三蔵を重要視しているからです。
対して日本の仏教の成り立ちは、サンスクリット語との関係も多いにあります。サンクスクリットで「dhyāpayati」を、「ディヤーパヤディ」といいます。
大乗仏教がは字通り「多くの一般人が信じることができる仏教の流派」を指し、現在日本で信仰されているほとんどの仏教は大乗仏教になります。
日本で「荼毘」という言葉が作られたのはパーリ語が語源だと言われていますが、サンスクリット語にも「荼毘に付す」の言葉があることを覚えておきます。
仏教発祥の地インドでの火葬の重要性を解説
インドでは、火葬が一番位の高い埋葬法だと信じられています。
もともとは仏教の開祖でもある釈迦が入滅した際に、火葬にしたことで知られた埋葬方法です。
古代のインドでは埋葬方法には4タイプあり、合わせて四葬といいます。
四葬は以下の通りです。
- 火葬…火で遺体を焼く
- 風葬…遺体を土の中などに埋葬せず風にさらす方法、または洞窟内に置いておき洗骨をする
- 水葬…現在はインドで火葬後に遺灰や遺骨の一部をガンジス川に流す方法などがある
- 土葬…昔の日本でも行われていたもので、土の中に棺などに入れた遺体を埋める
この方法の中で釈迦が行ったとされる火葬は、一番高貴な埋葬法とされています。
火葬をすることで肉体と魂が切り離され、未練を残さないということを表します。
そして煙となった故人は、天井へ昇っていくとされています。
日本における火葬の歴史を解説
日本で初めて火葬が行われたのは、700年の道昭という僧侶でした。
またそれに続くように持統天皇が火葬されています。
この時代にはまだ仏教徒や天皇などの権力者が火葬されるにすぎませんでしたが、鎌倉時代になると一般人の間でも火葬という埋葬法が広まっていきます。
現在は衛生的な問題や、土地の狭さなどで日本は火葬を義務付けられています。
他宗教での火葬を解説
他宗教で火葬をする際には、「荼毘に付す」とはいいません。
神式の場合は「火葬祭」と呼ばれるものはありますが、特別な用語としては造られていないのが一般的です。
キリスト教でも同じく、火葬に対し特別な言い方をしないのが基本です。
ただしキリスト教で火葬をするのは法律上、日本だけなので海外では土葬が主流です。