直会は古くから神式の儀で使われる言葉であり、神事の終わりにお供えした供物などを参列者などで一緒に口にするというものです。
これは神式の葬儀の後にも行われている行為であり、神との結びつきを深くするものとされています。
一体神式において「直会」とは、何を目的として始まったか、葬儀の際にはどのような意味があるのかなどの歴史についてまとめていきます。
概要
直会とはそもそも、神式の祭事の際にお供えをする御饌御酒を、祭りの最後に下ろして神職や参加者などで飲み分けることを指します。これは神と人間で同じものを分けて飲むということを表現するためで、「共食」を意味しています。
神道における共食は、神と人を深くつなぐものという意味があるために行います。
そのために神の側で従事する神職者は、祭事の際に汚れぬように最大限の掟を守ります。
直会とは一般的には祭事におけるものを言いますが、神式で行われる葬儀の際にも用いられる儀式となります。
仏式の受戒に似ている神式の斎戒
神式では「斎戒」という厳しい決まりがあり、神社などで神の近くで奉仕をする人が守るべき掟となります。
斎戒の他には「物忌み」や「潔斎」などとも表現します。
斎戒は以下の通りです。
- 衣服を正す
- 身体を清める
- 言語・動作を正しいものに
- 思念を正しいものに
- 居室を変える
- 食べ物を慎(絶食ではない)
- 不浄に触れない
などとする決まりがあります。
このような斎戒を守る必要があるのが、神職の方などです。
直会は、日常の戻るための儀式
神職の方には斎戒などの厳しい決まりがありますが、それは全て祭事のために必要なものです。
祭事が終わった者は、斎戒から日常に戻る為に直会(なおらい)という儀式をするのです。
直会はそれだけで成立する儀式ではなく、祭事の準備や祭事本番を経て、その後に行われる行動のことです。
つまり直会まで入れて、祭事を表します。
もともとの語源は文字を見るとわかる通り、「直る」「なおりあい」というものから来ています。
日常とは違う斎戒中の人々が、その状態から「直る」ことを表現しています。
葬儀における直会の意味合いを解説
直会とは神道において重視している、神と人との共存を表現する行動の事を指しています。
もともとは祭事の最後に行うものではありますが、神式の葬儀の際にも使う言葉です。
神道では葬儀も神事としてみなされるため、直会を行います。
ただし祭事の時とは、若干意味合いが異なるので注意します。
祭事の時には「人と神の共食」という意味が強かった直会ですが、葬儀の時には食事の意味を持ちます。
これは仏式でいうところの、「精進落とし」のような意味合いです。神に一番近いところで奉仕をしていた神職の方や、お世話になった人に対しお礼の意味を込めて食事を出すことを「直会」というのです。