葬儀には装具と呼ばれるものがいくつかありますが、その中でも六灯は有名です。
六灯は葬儀時に置かれた祭壇の両脇に、3つずつ置かれた灯りです。
六灯はいったい何に、どんな目的があって使われるのでしょうか。
こちらでは六灯の意味や現在の使われ方について、解説していきます。
概要
六灯と書いて、「ろくちょう」と読みます。
人の魂は死後7の倍数の日に裁判が行われ、四十九日法要まで続きます。
四十九日法要が終わると、初めて故人の魂は六道のどの世界に行くかが決まり、その世界へ進みます、
その六道を表現したものが、六灯です。
生前の行いが良い者は天道にいき、悪の限りを尽くした者は地獄へいきます。
その間にも世界が4つあり、どのように生きてきたかで細かく分類されるのです。
その世界を祭壇に表現し、左右3つずつ蝋燭を灯したのが始まりとされています。
六道を表現した六灯を解説
仏教の世界で釈迦は世界を6つに分けました。
それを六道といい、以下の様な世界です。
・天上
六道の中で一番良い世界だと言われていますが、そんなことはなく良いことがあった分、死に際が酷いものになるなどという決まりがあります。楽しみは確かにありますが、相応の苦しみも用意されています。
・人間界
天上より下に思われがちですが、現在の人間界そのものです。怒りや戦争などもありますが、喜びや幸せも感じられます。仏教では一番悟りを開きやすい世界だと信じられています。
・修羅界
修羅界とは喧嘩が多い争いばかりの世界です。
・畜生道
動物や昆虫になってしまう世界で、突然殺されたり食べられたりという恐ろしい世界です。
・餓鬼界
良く深い人間がいく場所で、食べたいものも飲みたいものも摂取することができず、やせ細ったまま生きます。
・地獄界
一番苦しい世界で罰を多く与えられます。針に刺されたり火であぶられたりと、悲惨な世界です。
この様な世界を六道といい、故人の魂がどこに振り分けられるか決まるのです。
六灯とは六道のことを表現
六灯りとは、昔は六道と表現していました。
今ほど街灯が無い村や町の中を、輿の乗せて遺体を運んでいた時代には列の先頭に蝋燭を六本用意していたのです。
人が6本の蝋燭を持って足元を照らしました。
その蝋燭の6本が六道とつながります。
死後どこに行くのかという不安を抱えていた時代には、できるだけ故人の魂が良い世界へ行かれるように願います。
そこで六道のどの世界に行くことになってしまっても、きっと六地蔵様が助けてくれるという願望を持っていたといいます。
これらを見てもわかる通り、全てのキーワードになっているのが「六」です。
だからこそ六本の蝋燭、6個の灯が葬儀で重要とされました。