日本では一般的に特別な指定がない場合は、仏式で葬儀を執り行います。
その際に大事なのが、故人がどの宗派を信仰していたかということです。
若い方は自分の家がどの宗派を信仰しているのかを知らない方も多いですが、宗派により葬儀の流れやマナーも変わります。
そこでこちらでは、いつも知っているマナーと違った時に慌てない様に、密教の葬儀についての詳細をご紹介していきます。
概要
密教とは真言宗や天台宗のことを指します。
日本では一般人にも信仰しやすいため、浄土真宗の信者が一番多いとされていますが、浄土宗や曹洞宗なども人気があります。
大体13の宗派がある中で、真言宗と天台宗は密教と呼ばれています。
庶民に布教した浄土真宗とは違い、あくまで師と弟子のためのものであるのが密教です。
この2派においては葬儀の際に、焼香の数などに違いがあります。
密教～天台宗の葬儀の流れを解説～
密教の中でも天台宗について、通夜や葬儀などを解説していきます。
天台宗では主に2つの教えを中心として信仰しています。
- 仏を信仰し仏と自分を一体化させ仏の道へ進む（密教）
- 自分自身を救済して他人へ利を得るという考え方（顕教）
また天台宗は法華経を読みながら懺悔をする儀式もあり、生前の行いを懺悔することでより仏へ近づくとされているのです。
その理念を踏まえた上で、通夜や葬儀の特徴を説明します。
【天台宗の通夜の特徴】
- 天台宗の通夜の特徴は「剃髪式」があることです。
- 剃髪とは髪を剃ることを指し、出家するという意味です。
- 剃髪式の後は受戒式をし、仏の弟子になる準備をします。
- ただし現在は故人の髪の毛を本当に剃るわけではなく、あくまで真似をするだけです。
【天台宗の葬儀の特徴】
- 天台宗の葬儀の特徴は、列讃（れっさん）の儀式です。
- これは打楽器（シンバルなど）などで音を鳴らす儀式であり、その儀式が終わると仏を迎え入れる儀式の準備に入ります。
【天台宗の葬儀マナー】
天台宗は3回の焼香をするのがマナーです。
ただし正確なルールではないので、その状況に応じて変えられます。
また49日法要が終わるまでは、お香典の表書きは「御霊前」とします。（もしも命日がはっきりわからない場合は、御香典でも大丈夫です。）
密教～真言宗の葬儀の流れを解説～
それでは密教のもう1つの宗派、真言宗について解説していきます。
実は先ほどご紹介した天台宗も密教の一種ではありますが、純粋な密教は真言宗とされています。
特に真言宗は修行をすることで、宗教の思想などを学び信仰できるものです。
【真言宗の通夜の特徴】
土砂加持（どしゃかじ）という儀式があり、こちらは通夜の前に納棺する際に行われます。
墓に撒くと生前の罪が消えるなどの、滅罪生善（めつざいしょうぜん）のために行うもので、光明真言を称えながら土砂を洗い、それをご遺体にかけます。
【真言宗の葬儀の特徴】
真言宗の葬儀では以下の儀式が行われます。
- 三密観
- 護身法
- 塗香
- 加持香水
また葬儀の際に遺族が以下のような思いを込める儀式も行います。
- 表白…故人を思い諸仏諸菩薩へ祈ること
- 三礼…礼拝すること
- 声明…仏典を音楽の様に称えること
真言宗ではこの他にも、故人の心の地獄を取り除くために行う「破地獄の作法」などを行います。
また出棺の前には指を鳴らして「撥遣」させ、魂を抜きます。
これはそこにいる菩薩たちに、帰ってもらうためだと言われています。
【真言宗の葬儀マナー】
真言宗の焼香の数は3回とされていますが、シーンにより1回でも大丈夫です。
また数珠は他の宗派と違い、こすり合わせるのが正式な方法です。
これは108個の煩悩を取り払うという意味があるためで、できるだけ葬儀に参列したらこちらの方法で称えます。
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