葬儀や法要、お盆などでは普段仏教に親しみがない方でも線香をあげますよね。
信心深い方であれば、毎朝先祖の霊に線香をあげる方もいるかもしれません。
線香をあげるというのはそんなに珍しい話ではないですが、実は「献香」という儀式であることをご存知でしょうか。
こちらでは献香がいつから出来たか、宗派により違う献香のマナーなどをご紹介していきます。
概要
献香とは仏教だけではなく、最近では神にまつわる行事や仏教的な儀式の際に使用します。
線香を献上するという意味であり、線香の香りが浄土をイメージさせるということで、仏教では献香が重要視されているのです。
通夜で一晩中線香を焚いておくのは、極楽浄土の道へ向かうためだったり、死者がお腹を空かせないようにとの意味もあります。
献香の歴史を解説
もともと日本の仏教はインドから直接伝わったわけではなく、中国に伝わった仏教が日本に伝来されたものです。
そのため日本に現在ある仏教は、中国の儒教の影響を受けているといわれています。
もともと飛鳥時代(500年代後半)に香が伝わったのですが、その時は仏教の儀式の一環として線香をあげていました。
そののち平安時代で貴族が香りをたしなむのという楽しみを見つけ、貴族の優雅な遊びの1つとして知られていきます。
そして香が「香道」として芸術的な意味合いを持ちだしたのが、室町時代です。
この時代には文化や芸術が著しく発展し、東山文化というものができたのです。
文化人たちが香りを追求しはじめたのが、この頃だといいます。
その後武士たちも香りを楽しみはじめた鎌倉時代には、香を芸術として楽しみというよりも、戦いに出る前に気持ちを落ち着かせるという、安定したメンタルを保つためのものとして人気がでます。
江戸時代に入ると一般人にも香が広まり、あらゆる香りを楽しめるようになっていきました。
現在でも香は「アロマ」や「お香」などとして、女性を中心に人気を博しています。
最近では色々な花の香りやかんきつ類の香りなども提供され、身近に香りを楽しめるようになっています。