日本の葬儀は主に仏式で執り行う方が多く、それ以外の式は生前に故人が信仰していたものがある場合などに限ります。
とはいえ仏式のつもりで参列して、神式だということもありますよね。
その際に知らないと困ることもあります。
そんな時に参考にしてほしい、仏式でいうところの「焼香」にあたる玉串奉奠についてまとめていきます。
概要
玉串奉奠に使用する、榊に紙垂を垂らした玉串は、神式の儀式になくてはならないものです。
葬儀では喪主だけ赤い紙垂を使用したり、人よりも大きいものを使用した「喪主玉」と呼ばれるものを使用したりもします。
玉串には人と神を繋げるという意味が込められているため、葬儀などで玉串に自分の思いをのせる、という目的や神へのお供えが玉串奉奠です。
玉串奉奠の目的や歴史を解説
玉串奉奠をする目的は、現在の人間が玉串に自分たちの気持ちをこめ、それを神につなげるというものです。
神式の葬儀だけではなく、玉串奉奠は神式の行事で行う大事な儀式です。
日本では仏教が伝来する前から自然崇拝信仰が盛んで、物や場所には神が宿るという考えが根付いていました。
これが日本の「八百万神々」の始まりです。
日本にある神話の中で、玉を榊につけて祈りを捧げて神に岩戸から出てもらう、という1シーンがあります。
この古事記のシーンが、後の玉串のモデルになったのではという説が有力です。
玉串は神様が憑りつく、または住み着く依り代だと言われています。
もともと古来の日本ではあらゆる物に「神」がいると言われていたため、玉串も依り代として神と繋がるものとしていたのです。
玉串奉奠は五穀豊穣を願ったり、天災をなくして欲しいという祈りなどの意味があったとされています。
葬儀で行う玉串奉奠のマナーを解説
実際に葬儀で行う玉串奉奠のマナーを、こちらで解説していきます。
- 神職の方が玉串を渡してくれたら、右手は根元、左手は葉をそっと持つ
- 胸の前で持ちながらゆっくり歩いて神前に立つ
- 神前で一礼をしたら、そのままゆっくり玉串の根元を自分の方にして縦に持ちかえる
- 玉串を時計回りで根元が祭壇に向かうように回し、故人へ向ける
- 二拝・二拍手・一拝
こちらが神式の葬儀で必要になる、玉串奉奠です。
また二拍手の時には、通常の拍手と違い音をだしません。
この拍手を「忍び手」といい、静かに拍手をするのが特徴です。
この玉串奉奠は仏式の葬儀でいう「焼香」なので、形が違えと神と繋がる、故人を偲ぶという思いには違いがありません。