妊娠した際に新たに作られる臓器が胎盤です。
母体の栄養、そして酸素を胎児に届ける役割が胎盤にありますが、胎児が排出した二酸化炭素を受け取る役割も果たしています。
こちらでは、妊娠した女性なら知っておきたい胎盤の役割について、ご説明していきます。
概要
妊娠した際に新たに作られる臓器のことを胎盤と言います。
妊娠することで形成されるため、もともと女性の体内にはありません。
人間だけでなく、哺乳類に形成されるものです。
着床した受精卵から分泌されるホルモンから作られるため、血管のかたまりです。
母体と胎児の連絡を担う役割を持っている、とても大切な臓器です。
胎盤の役割
胎盤にはたくさんの役割があります。
どれも大切な役割ばかりなので、知っておくことが大切です。
- 呼吸器
- 消化器
- 循環器
- 内分泌器
- 排せつ器
- 羊水を作る
子宮の中にいる胎児は呼吸ができないため、酸素を胎盤の血流を通して母親から受け取ります。
胎児は食べることも不可能なため、母親の体の栄養受け取る役割も胎盤が担っています。
子宮にいる胎児は、胃、小腸、大腸といった消化できる機能がまだないため、胎盤は重要な役割を果たしているといえます。
妊娠8週頃になると心拍が確認できるようになり、一安心する方も多いと思いますが、大動脈や大静脈の働きはまだできません。
そのため、胎児の循環器の役割も胎盤が担っています。
妊娠を継続していくうえでとても大切な子宮収縮を抑える働きが、胎盤から分泌されるホルモンにあります。
母親が持つ栄養を胎児に優先的に届けるという大事な役割もあるのです。
子宮の中の胎児は、胎盤から母親の栄養や水を受け取りますが、必要なくなった老廃物と、不必要な二酸化炭素を排出する役割も胎盤にはあります。
つまり、胎盤は腎臓や膀胱などの排泄のしくみを支えている役割も持っています。
胎児にとって大切なもののひとつが羊水です。
羊水を作り出す働きも、胎盤の役割のひとつです。
胎盤ができ始めると、そのころには羊水もできているのです。
胎盤ができていく流れ
妊娠したからといって、すぐに胎盤が完成された状態で現れるわけではありません。
胎盤も少しずつ成長しています。
妊娠初期である妊娠13週目頃から、胎盤ができ始めると言われています。
胎盤ができ始めると羊水も出てくると言われているため、妊娠初期でも子宮には少量の羊水があるのです。
妊娠中期の妊娠16週目頃には、胎盤がほぼ完成です。
この頃になると、超音波検査で胎盤の位置がわかります。
しかし、妊娠16週頃はまだ胎盤の重要な役割である栄養を運ぶこと、老廃物を受け取ることなどはできません。
重要な働きをするのは、妊娠20週目頃からです。
そして、胎児が成長していくのと同時に、胎盤も成長していきます。
妊娠後期である妊娠30週目あたりでは、胎盤の重さは約300gにまで成長していきます。
その後は、役割を終えるため、胎盤の老化が進んでいきます。
胎盤は食べれる
出産後、胎盤を食べる人がいるというのを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
必ずしも食べるものではありませんが、中には自ら希望して胎盤を食べる方もいます。
しかし、通常胎盤は医療廃棄物として処理されます。
そのため、胎盤を食べることを希望する方は、医療施設へと可能か確認しておきましょう。
胎盤は、産後うつの予防の目的で食べる方がいると言われています。
母乳の出がよくなることもメリットにあげられています。
メリットがある一方、胎盤を食べることで感染症のリスクがあり危険だとも言われています。
胎盤を食べることを希望している場合は、しっかりとリスクも確認し、担当の医師に相談してください。
胎盤に関するトラブル
胎盤は重要な役割があるため、トラブルが発生すると妊娠を継続できない場合があります。
- 前置胎盤
- 常位胎盤早期剥離
- 胎盤機能不全
- 癒着胎盤
胎盤の位置が子宮口をふさぐ場所にできてしまう前置胎盤が見つかった場合、分娩は帝王切開で行なわれます。
出産前に胎盤の一部がはがれてしまう常位胎盤早期剥離になってしまった場合は、すぐに赤ちゃん誕生させる必要があります。
胎盤が老化し、しっかりと働きをしてくれなくなる胎盤機能不全は、羊水が減る危険もあるため、促進剤でお産を促す可能性があります。
分娩時に癒着胎盤が見つかることもあります。
医師が手ではがす胎盤ですが、癒着が見られた場合は、手術を行なうことになるでしょう。