妊娠中期から後期におこる可能性がある病気が、妊娠中毒症です。
現在は妊娠中毒症とは言わず、妊娠高血圧症候群と呼び名が変わりました。
こちらでは、現在でも妊娠中毒症と理解している人が多いであろう、妊娠高血圧症候群について、ご紹介していきます。
概要
妊娠中期から後期にかけて、妊婦がかかるおそれがある病気のひとつを妊娠中毒症と言います。
かつては妊娠中毒症と呼ばれていましたが、現在は妊娠高血圧症候群と名称が変わっています。
名前が変わった理由
なぜ、妊娠中毒症から妊娠高血圧症候群に名前を変更したのかをご説明していきます。
妊娠中に母体や胎児に悪影響を与える原因は、高血圧だと判明したことがあげられます。
そのことから、妊娠高血圧症候群へと名前が変わったのです。
妊娠高血圧症候群の症状
実は、妊娠高血圧症候群は自分ではかかっていることに気付きにくい病気です。
自覚症状がほぼない病気なのです。
体がだるくなることはありますが、妊娠中はよく感じる症状のひとつのため、妊娠高血圧症候群だと気が付かずに過ごしている人が多いです。
体のだるさの他、頭痛を感じる場合もあります。
妊娠高血圧症候群の合併症は、症状が出て、それに気が付くことが多いでしょう。
例えば、視野障害を起こした状態の子癇の場合、目がチカチカする、目がかすむ、長時間続く頭痛などの症状が出ます。
さらに、母体の命の危険も考えられるHELLP症候群の場合、初期症状として吐き気、嘔吐、みぞおちの痛みが現れます。
風邪の症状と似ているため、見逃してしまう可能性も高いですが、命に係わることのため、気になる症状が出た場合はすぐに通院している医療施設へ行きましょう。
妊娠高血圧症候群の母体への影響
妊娠高血圧症候群が母体におこす影響を確認しておきましょう。
- HELLP症候群
- 子癇
- 常位胎盤早期剥離
先に紹介しているHELLP症候群や子癇も、妊娠高血圧症候群が母体にあたえる影響です。
HELLP症候群とは、肝臓機能の悪化、赤血球が壊れる、血小板が減るという症状が出る合併症です。
HELLP症候群にかかってしまうと、多くの臓器がダメージを受けてしまいます。
子癇とは、妊娠20週以降に初めて出る痙攣のことを言います。
痙攣が続いてしまうと、母体だけでなく胎児も危険な状態へと陥る可能性があります。
帝王切開で分娩する場合もあります。
常位胎盤早期剥離とは、出産前に胎盤の一部が剥がれてしまう病気です。
常位胎盤早期剥離は、母子の命にも関わる病気です。
妊娠高血圧症候群の胎児への影響
母体への影響に続いて、妊娠高血圧症候群が原因の胎児への影響も確認しておきましょう。
- 低体重出産
- 発育不全
- 死産
妊娠高血圧症候群が原因となり、低体重出産となる可能性が高いです。
それは、胎児の発育不全が影響しています。
妊娠高血圧症候群になると、血流が悪くなります。
血流が悪くなると、栄養や酸素が不足してしまい、胎児の成長に悪影響を及ぼします。
酸素が足りず、低酸素状態が続いてしまうと、胎児の脳に悪影響を及ぼす可能性があります。
妊娠高血圧症候群が重症化すると、胎児が母親の体の中で亡くなってしまうこともあり得ます。
また、死産となってしまう可能性もあるのです。
母体のみならず胎児にも多くの悪影響を及ぼす妊娠高血圧症候群は、軽くみてはいけない病気です。
妊娠高血圧症候群の治療
妊娠高血圧症候群の診断がくだされたら、食事に気をつかい、安静に過ごすことが大切でしょう。
カロリー制限をしていくこともあるでしょう。
さらには入院する場合もあります。
妊娠高血圧症候群が重症化している場合は、入院する可能性が高いです。
血圧を下げる治療をしていきます。
さらには、正産期に入っていなくても、帝王切開で出産をする場合もあります。