湯灌の儀という言葉は、意外と知られていません。
人が亡くなり葬儀でお顔を拝見すると、大抵の方がまるで生きているかのように綺麗な表情を見られます。
納棺をした故人のお顔が綺麗なのは、病院や専門の湯灌師が行います。
とはいえ湯灌とは具体的にどのようなことをするのでしょうか。
こちらでは納棺前に行われる湯灌が、宗教的な儀式の意味合いを含んでいる説に触れながらまとめていきます。
概要
病院で亡くなると看護師が故人の体を綺麗にし、自宅に戻ってくるのがほとんどです。
これは遺体の腐敗が進んでしまわないようにとのケアと、衛生面でのケアの意味があります。
湯灌には種類があり、その方法を選ぶのは遺族です。
また必ず死後に湯灌をする決まりはなく、葬儀代にあらかじめ含まれていない場合がほとんどです。
あくまでも遺族の希望により行われるものだと、覚えておきます。
湯灌の儀に対詳細を解説
湯灌の儀は死化粧も含め、故人が亡くなった後に清潔、かつ見た目にも美しい状態にする儀式です。
湯灌の儀には以下の2種類がありますが、どちらも逆さ水といって下側、つまり足元から水をかけていきます。
- 洗体湯灌…体全体をシャンプーなどを使いしっかあり洗いあげるもの
- 古式湯灌…洗わずに拭き上げるタイプのもの
湯灌の種類に関わらず顔を剃ったりはしますが、最近は古式湯灌を依頼する遺族が多いとされています。
理由はぬるま湯で洗うことで遺体の腐敗を進ませてしまう心配があるからで、拭き上げて死化粧をするのが一般的なのです。
湯灌の儀は何のためにするの？
それでは湯灌の儀はもともと、何のためにするのでしょうか。
宗教的な儀式であるとされる湯灌の儀は、生前の故人の煩悩や罪などを全て洗い流してから現世から離れるためといわれています。
これは古来の中国の経典による影響であり、できるだけ綺麗な身心であの世へ行けるようにとの願いが込められているのです。
また仏教では輪廻転生が信じられているので、新しい生命の誕生時と同じようにお湯につけるともいわれています。
つまり「産湯」としての意味も、湯灌の儀には含まれているわけです。
新たな生まれ変わりの時に入るお湯、その宗教的な思想が湯灌の儀を作りあげました。
また湯灌の儀のもう1つの意味は、遺族が覚悟を決める、気持ちにケリをつけるためともいわれています。
まだ故人の死を信じられない遺族はたくさんいますから、湯灌の儀をすることで心の中で納得していくのです。
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