季節の折々には5つの「節句」があります。 桃の節句や端午の節句は五節句の中でも有名なので、多くの人が知っていますよね。
一方で「重九の節句」を知っている人は、おそらくかなり少ないのではないでしょうか?
認知度は高くないですが、実は重九の節句に適した贈り物や花があるのです。
どんな贈り物をすれば良いのか知る前に、重九の節句の由来についても把握しておきたいですね。
今回は重九の節句の時期や最適な贈り物、由来やどんな花を贈れば良いのかを詳しくご紹介していきます。
重九の節句の時期や由来は?
重九の節句は聞きなれない節句ですが、時期や由来が気になる人も多いでしょう。 時期のヒントは「重九の節句」という名称の中にありますが、わかりますか?
九が重なると書くということで、毎年9月9日が重九の節句にあたります。 中国には陰陽による思想があって偶数を陰、奇数を陽と分けているんですね。
9は陽の中でも最も力が強いとされる数字で、陽が強過ぎて古代中国では縁起が悪かったのです。 時が過ぎていくにつれ、陽の力が二重になるのはむしろ良いことなのではないか?と考えられるようになりました。
たしかに陽の極みである9が重なると、なんだかすごいパワーを感じます! 昔は縁起の悪さを抑えるために、重九の節句に厄落としをしていたのですね。
今までは多くの人が気乗りしない少し重たい行事であったのが、いつの間にかお祝いの行事になっていました。 昔と現在とで意味が逆転した節句なのですが、現在に至るまであまり広くはおこなわれていないのが特徴です。
五節句の中でも世間一般の認知度は低く、日本では陰陽思想も強くないために重九の節句でお祝いをする意味があまりないんですね。
重九の節句には何をするの?
9という数字に重きを置いている重九の節句、具体的に何をすれば良いのか気になっている人も多いのではないでしょうか? 季節を楽しみながら、厄除けをできる方法を詳しくみていきましょう。
季節の食べ物を食べる
何をしたら良いのかイマイチわからない場合には、季節の食べ物を食べると良いでしょう。 9月は秋の味覚が出始める時期であり、すでに栗や梨などがお店に並んでいます。
旬のものを食べるのは季節を感じるために最も適していますし、子供にとっては食育にも繋がりますよね。 ぜひ9月9日には秋の味覚を堪能して、美味しさで邪気を払ってください!
厄除けの袋を身に付ける
重九の節句は元々、不吉な日である9月9日に厄を祓うための節句でした。 漢方にも使われているツブツブとした実である「呉茱萸(ごしゅゆ)」は、魔除けに適した赤い色をしているのが特徴です。
呉茱萸を深い赤の緋色をした袋に入れて持ち歩くことで、厄を祓えると言われているんですね。 漢方に「呉茱萸湯」という薬があるので、呉茱萸の代わりに入れておくのがお勧めです。
雛人形をもう一度出す
女の子がいる家庭では、3月の桃の節句に雛人形を出したのではないでしょうか? 実は9月9日の重九の節句に、しまった雛人形をもう一度出すという風習があるのです。
雛人形を重九の節句にもう一度出すことを「後の雛(のちのひな)」といいます。 3月から半年経って出すことで、湿気を防いでより長持ちさせる効果が期待できるんですね。
重九の節句には欠かせない花は?
あまり知られていない五節句のひとつ、重九の節句ですが…欠かせない花があるのをご存知でしょうか? 旧暦の9月9日は菊がたくさん咲いていた時期なので、別の呼び方で「菊の節句」とも言われているんです。
もしかしたら、菊の節句の方が世間に馴染んでいる呼び名かもしれません。 菊を使った、重九の節句ならではの楽しみ方を見ていきましょう。
被せ綿をする
被せ綿ってどんなもの?と思いますが、9月9日の前日から菊を綿布で覆っておきます。 菊を纏った綿を重九の節句に着ることで、邪気を祓えると言われているのです。
翌日にはほんのり菊の香りがするので、不老長寿のご利益もあるみたいですね! 綿を纏わせるためにはかなり大きな菊が必要ですが、ピンポンマムなどの西洋菊は大きさもあって適しています。
菊湯に入る
冬至にゆず湯を沸かすように、重九の節句には菊湯に入ります。 西洋ハーブをお湯に浮かべて入浴するのはよく聞きますが、菊湯はあまり聞き慣れませんね。
菊にはリラックス作用のある香り成分が含まれており、自律神経のバランスを整えてくれます。 なんと認知症予防にも良いという研究結果も出ているので、注目され始めているんですね。
重九の節句に最適な贈り物とは?
重九の節句は広く知られていない行事だからこそ、何か贈り物をして世間に発信したいですよね。 最適な贈り物はどんなものなのかというと、手軽に贈るためにも季節の食べ物がお勧めです。
季節の食べ物といえば栗、秋茄子などがあります。 菊が咲く季節であったことから食用菊を贈っても、食卓が華やいで楽しい雰囲気になったことでしょう。
食用菊はお刺身に添えられているのを想像する人が多いですが、実は抗菌殺菌作用があるのですね。 私は今まで食べられないのかと思って放置していましたが、実は食中毒予防にひと役買ってくれていました!
エディブルフラワーの中でも菊はポピュラーなので、ぜひお刺身と一緒に食べられるよう贈ってみてくださいね。
まとめ
重九の節句の時期や最適な贈り物、由来やどんな花を贈れば良いのかを詳しくご紹介してきました。
9月9日におこなわれる五節句のひとつで、陰陽の陽が強すぎることから不吉な日とされてきたのが特徴です。 不吉なことから身を守るために厄を祓うのが目的だったのが、いつしか陰陽の陽が重なった縁起の良い日になりました。
別名を菊の節句ともいい、菊を使った楽しみ方や雛人形をもう一度出します。 贈り物は秋ならではの食べ物や菊の花などがお勧めなので、ぜひ忘れず重九の節句をおこないたいですね。