埋葬の仕方には、世界各国で色々なものがあります。
死者を弔うということは、時代を問わずとても重要なものです。
世界の知られている埋葬法は火葬、土葬の他に、水葬や林葬などです。
そうはいっても、埋葬方法にそこまで詳しくないという方もいるはずです。こちらでは水葬をはじめとした、埋葬方法の内容や歴史についてまとめていきます。
概要
水葬とは文字通り、水の中に遺体を埋葬する方法を指し、火葬などと並んだ四大埋葬法と言われています。
月面到着したことで知られているアメリカの元宇宙飛行士、ニール・アームストロングが、水葬をされたことは有名です。
水葬は葬儀そのものを呼ぶ場合もありますし、埋葬方法を指す場合もあります。
一般的に知られているところでは、インドの埋葬方法の中心が水葬です。
テレビなどで良く見かけるガンジス川に遺体や遺灰を流す習慣は、まさに水に遺体を流す「水葬」なのです。他の国で水葬する場合は、棺の中に入れて流します。
日本での水葬は特別な例を除き法律違反
日本では現在「埋葬法」という法律があるため、水葬は法律に違反します。
日本で亡くなると火葬にし、その後墓などに納骨するのが一般的です。
ただし日本でも、航海中は特別に水葬を許します。
それは船の中、つまり航行中で亡くなった場合は許されるということです。
これは海の上で船という密室に閉じ込められているため、伝染病などが横行するのを防ぐためであるのです。
ただし船上であっても水葬にするためには、厳しい条件をクリアします。その条件は以下の通りです。
- 死亡後24時間以上
- 船内での衛生上、感染病などの問題が生じてしまう場合など
また船の中に医師が乗っている際には「死亡診断書」が必要となり、写真や遺品などを残すといういくつかの条件を守ってから水葬します。
出棺時のクラクションは水葬が理由の1つ
日本の仏式葬儀で出棺をする際に、クラクションを鳴らしたり、茶碗を割ります。
これは船の上で人が亡くなった時に海に遺体を流し、最後のお別れを告げるために汽笛をならしたことがきっかけです。
この時の汽笛が、現在でもクラクションとして鳴らしているというのです。
ただしクラクションにおいては諸説あるので、この限りではありません。
日本での水葬の歴史
現代の日本では水葬は法律違反となっていますが、実は昔日本では水葬はよくある埋葬法です。
万葉集の中には水槽の記述があり、神様の供物・鯛になって戻ってくるという意味を込めました。
仏教よりも神道を重んじていた日本では自然を崇拝して尊敬する概念があったため、水葬という手段も視野にあったのです。
歴史上有名な人物の中では、武田信玄が琵琶湖で水葬をされたといわれています。
インドでの水葬の歴史と秩序
インドでは文ほとりに明が発展したことでも知られているガンジス川がありますが、この川で多くのひとが未だに水葬されています。
ただしインドの国民全体という認識ではなく、ヒンドゥー教徒がほとんどです。
また水葬ではありますが、そのまま遺体を流すということはなく、川岸の火葬場で一度死体を火葬してから遺灰や遺骨などが流されます。
インドではまだまだ貧困の為に埋葬ができないなどの事情があり、稀にそのまま水葬されています。
インドでの水葬は宗教的な文化であるとともに、生活や経済的な問題上でも行われています。