朝晩が涼しくなってきたな、昼の時間が短くなってきたなと体感するのがだいたい10月に突入した頃でしょうか。
布団から中々出られなくなったり水仕事がちょっと辛くなってくるんですよね。
衣替えのタイミングがつかみづらいがゆえに体調も崩しがちなこの季節ですが…楽しいことや美味しいものも満ち溢れている季節なんです!
季節ごとにどう過ごすべきか、どんな楽しいことや美味しいものがあるのか。
またその由来や季節感などお伝えしていきたいと思います。
せっかく過ごすなら暑くても寒くても前向きに!季節の達人を目指していきましょう。
現代の季節と暦の関係、意外に知らない暦のこと
季節を表す言葉として春夏秋冬というのは日本に住んでいると常識として備わる知識でしょう。
四季とも呼びますが、その四季を太陽の動きを基準に24つに等分したものを表現として二十四節気(にじゅうしせっき)と呼び、更に1つの節気を初候(しょこう)次候(じこう)末候(まっこう)の3つにわけた七十二候(しちじゅうにこう)というものがあります。
はるか昔中国から伝わったこの表現ですが、時代の流れとともに気候が変化している事もあり、現代の季節感とは若干ズレがあります。
天気予報やテレビのニュース番組などでも「暑い日が続きますが暦の上では秋です」というような台詞を耳にしたことはありませんか?
今回は10月上旬から11月中旬にかけての季節について、二十四節気を用いて紹介します。
- 四季を24つに等分した表現がある。
- 現代の季節感とは少しずれている。
- 暦の上での表現になる。
- もっと細かい七十二候という表現がある。
ということ頭に置いて読み進めていきましょう。
七十二候は季節の細かな情景が短文で表現されているので更に季節感が伝わりやすいものになっています。
寒露、朝晩ちょっと冷えますよね
毎年10月7日頃から15日間は十四節気の17番目に当たり、寒露(かんろ)といいます。
暦に関する書物は古くから多く存在しますが、その中から太玄斎によって書著された暦の解説書「暦便覧(こよみびんらん)」を用いて見てみると、寒露の季節について「陰寒の気に合つて露結びつかんとすれば也」と記されています。
要約すると寒く冷えた空気と露が結びつきはじめる頃、露が霜に変わる少し前の時期という意味です。
言葉を読むだけで少し体がブルっと震えそうな表現ですね。
寒露の季節を先ほど紹介した七十二候に分けると、10月7日から11日頃を初候「鴻雁来(こうがんきたる)」、12日から16日頃を次候「菊花開(きくのはなひらく)」、17日から21日頃を末候「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」という表現になります。
雁が飛んで来る時期ですよ、菊の花が咲く時期ですよ、きりぎりすが玄関や家の周りで鳴き始める時期ですよ。とそれぞれ寒露の季節を更に細かく表現しています。
七十二候の表現でも書かれている通り、ツバメなどの夏鳥が南の方へ移動し、雁(がん)などの冬鳥が日本へ飛んでくる季節です。
国語の教科書にも「大造じいさんとガン」という話が載っていたり、秋の終わりがけの風物詩でもある馴染み深い鳥ですが、現代では数が減少して保護鳥の一種に指定されているようです。
季節を告げる大切な存在を守っていきたいですね。
寒露の頃には昼の時間が短く、夜が長く感じ始める人も増えるでしょう。
朝スッキリと目覚めるのが難しくなる季節へ突入する訳ですが、夜空を眺めるのにはうってつけの季節でもあります。
10月13日頃には中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)の次に美しいとされる十三夜(じゅうさんや)が見られます。
中秋の名月の次に見られる事から後(のち)の月、豆名月もしくは栗名月と呼ばれることもあります。
月見といえばお月見団子をセットで連想する人も少なくないでしょう。
なぜ美しい月が見える夜に団子を供えるようになったかご存じですか?
はじまりは江戸時代、今日までの収穫の感謝とこれからの豊作を願いを込めて、収穫したお米で作ったお団子を月に対してお供えしていました。
お月見団子と一緒にススキが飾られているイメージもありますよね。
ススキが稲穂に似ているのが理由のようで、本物の稲穂を飾る家庭もありますし、この季節に採れた野菜をお供えするところもあります。
月に対する信仰心が窺える文化ですね。
豆名月、栗名月という名前にちなんで豆や栗を供えるのも良いでしょう。
綺麗なものを眺めながら美味しいものを食べるのは涼しくなり始めたこの時期の特権です。
是非ご家庭でお団子作りやお月見を楽しみたいですね。
霜降、お肉の話じゃないですよ
寒露の季節が終わると、次の日10月23日頃からの15日間は二十四節気の18番目である霜降(そうこう)の季節です。
暦便覧には「露が陰気に結ばれて霜となりて降るゆゑ也」と記されており、要約すると露が冷たい空気に触れて霜になる。という意味です。
いよいよ露が霜に変わる様子から寒さが本格化してくる頃と想像できますね。
この頃から暖房や上着など着々と冬支度を始める人が多いのではないでしょうか。
霜降の季節も七十二候で分けることができます。
10月23日から27日頃を初候「霜始降(しもはじめてふる)」、28日から11月1日頃を次候「霎時施(こさめときどきふる)」、2日から6日頃を末候「楓蔦黄(もみじつたきばむ)」という表現になります。
霜が降り始めますよ、小雨がしとしと降りますよ、もみじや蔦が黄葉しますよ。という意味になっており、霜降の季節の情景を細かく表しています。
末候の意味を読んで「黄葉?紅葉じゃなくて?」と疑問に思った人はいませんか?
これは「黄葉(こうよう、おうよう)」と読み、葉が色づく仕組みを知ると意味も紅葉となんら変わらないもの、ということです。
そもそも緑だった木々の葉が色づくには順番と条件があったのです。
日光の強さが弱まり、空気が冷え始めると葉の中の色素であるクロロフィル(緑)、カロチノイド(黄)が順番に分解されはじめ、分解と同時にアントシアニンという色素の生成が始まります。
なので、黄葉は紅葉の一歩手前や、赤くならないイチョウなどの植物に使われます。
アントシアニンが生成される理由はまだ解明されていないようです。
紅葉狩りに出かけた際に使える小話の1つとして覚えておくのも良いでしょう。
本格的に夜が長くなってくるので「秋の夜長」と言われる季節でもあります。
読書や編み物、映画鑑賞など趣味に没頭する時期ですね。
季節の変わり目は体調を崩しやすいので寝不足だけには気をつけたいものです。
立冬、いよいよ季節が変わります。
霜降が終わり、11月6日頃に訪れるのが立冬(りっとう)です。
暦便覧には「冬の気立ち始めて、いよいよ冷ゆれば也」と記されています。
要約すると冬が始まり、冷える頃という意味です。
季節の名前に使われている「立」の時には季節の始まりという意味があるのでその通り暦の上では冬になります。
初雪がチラつく地域も出始める頃でしょう。
そんな冬の始まりである立冬を七十二候で分けると11月6日から10日頃を初候「山茶花始開(つばきはじめてひらく)」、11日から15日頃を次候「地始凍(ちはじめてこおる)」、16日から20日頃を「金盞花香(きんせんかさく)」という表現になります。
ツバキが咲き始める頃ですよ、大地が凍り始める頃ですよ、水仙の花が咲く頃ですよ。という意味になっています。
ツバキや水仙など馴染みのある花の名前が情景を分かりやすい表現になっていますね。
10月半ばから11月末までに北よりから吹く毎秒8m以上の強い風を木枯らし一号と呼び、ニュースなどの天気予報で「木枯らし一号が吹きました」などと耳にするのも立冬の季節です。
木枯らしは冬型の気圧配置にならないと吹かない風なので、冬の訪れを告げる大切な役割を担った風と言っても良いでしょう。
吹くたびに木の葉を落とす(枯らす)ことが名前の由来と言われています。
立冬と冬至(とうじ)を間違えている人が多く見受けられますが全くの別物です。
名前の雰囲気的が似ている気がするので間違えても仕方が無いという感じですが冬至という名前には「日短きこと至(きわま)る」という意味があり、おおよそ12月21日頃、もう少し先の二十四節気の表現になります。
正しい季節の表現ができるように気をつけたいですね。
旬のものは体にいいってほんと?
昔から「旬のものを食べると生きながらえる」と言われてきました。
迷信でしょと思われる事もありますが、旬の食べ物の効能や栄養価を見てみると理にかなってる部分が結構大きかったりします。
食料が豊富にある現代では旬の物が目立つものではなくなってきましたが、先人の知恵を生かして健康な体を維持していきましょう。
寒露から立冬にかけての旬の物を紹介します。
この季節はきのこ類芋類が旬を迎えています。イモ類の中でも特にサツマイモ、里芋が時期でしょう。
立冬を迎える頃には白菜や大根も旬の仲間入りをします。
サツマイモは全体的に栄養価も高く整腸作用もあるのでお子さんのおやつにぴったりです。
里芋は低カロリーな上にむくみを解消する効果があるカリウムも豊富に含まれているので女性や妊婦さんに人気です。
きのこ類にも不溶性食物繊維が多く含まれており便秘の解消や老廃物の排出の手助けをしてくれます。
しいたけやきくらげなどは乾燥させるとカルシウムの吸収を手助けするビタミンDが豊富になるそうです。
きのこって不思議ですね。
ミネラルや葉酸まで含んでいて低カロリーなきのこ類は是非この季節の食卓に並べたいですね。
大根には消化酵素、白菜にはビタミンCがたっぷり含まれており体の調子を整えるのにうってつけです。
海の物になると鯖、鮭、シシャモなどが旬を迎えます。
この3つには共通でDHC(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)という体内では生成できない必須脂肪酸が豊富に含まれており、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす効果があります。
今鯖がダイエット面で話題になっているのはご存じでしょうか。
決してカロリーが低くない魚ですがGLP-1(グルカゴン様ペプチド1)といってインスリンの分泌を促して満腹中枢を刺激する、通称「痩せホルモン」が含まれており、食べすぎを防止してくれるのです。
食欲の秋と言われるこの季節、是非取り入れたい魚ですね。
また鮭にもアスタキサンチンと呼ばれる栄養素が豊富に含まれて居ます。
ビタミンCの6000倍もの抗酸化作用があるとされておりアンチエイジング効果が話題になっています。
鯖も鮭も骨が大きいためほぐしやすく、シシャモは丸かじりできるので小さな子供にも食べさせやすいのが魅力です。
フレークや缶詰もあるので忙しい主婦の味方ともいえるでしょう。
野菜が苦手な人は細かく刻んで鮭のすり身にまぜてつみれにしたり、ひき肉と混ぜて餃子にしてみるのも良いでしょう。
家族や友人と旬の具材をつかった鍋を囲うのも楽しみの1つですね。
本格的な寒さに備えてたくさん食べよう、脂肪を蓄えようとするのは生き物の本能です。
それにあわせたかのように胃腸の調子を整える効果があったり、良質な資質を吸収できるようになっていたり、旬の食べ物と体の作りは密接な関係にあるようです。
空と光を楽しむ季節です
10月上旬から11月中旬までの各地で行われるイベントを紹介します。
「なばなの里イルミネーション」
広大な敷地面積を誇る花のテーマパークが会場のイルミネーションは国内最大級の規模です。
メイン会場のイルミネーションは毎年新しいテーマで彩られます。
光のトンネルや水上イルミネーションなど最新LED機能を駆使した演出が見ものです。
「川越まつり」
精巧な人形を乗せ、絢爛豪華に飾られた山車(だし)が蔵作りの町を中心に曳行(えいこう)されます。
平成17年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されているお祭りです。
酒蔵が有名な土地なので地酒も堪能できますね。
「高台寺のライトアップ」
京都の風物詩でもある高台寺のライトアップ。
臥龍池が鏡のように紅葉を映す姿は幻想的で見とれてしまうこと間違い無いでしょう。
プロジェクションマッピングなども行われるようです。
「佐賀インターナショナルバルーンフェス」
佐賀市嘉瀬川河川敷がメイン会場のアジア最大級のバルーン国際大会です。
各国から100機のバルーンが集まります。
競技だけでなくキャラクターや動物モチーフの可愛らしいバルーンも見所です。
「琉球の祭典」
総合芸能文化の祭典です。
沖縄のエイサーをはじめ全国の民俗芸能が楽しめるパレードがあったり、沖縄一の旗頭を競い男陣が勇ましく舞う全島旗頭フェスティバルが行われます。
参加者も一緒になって楽しめる催しが盛りだくさんの楽しいイベントです。
空気が冷え、澄みはじめる季節のイベントは空や光をメインにしたものが多いようです。
今回は有名なイベントをご紹介しましたが、この他にも各地でたくさんのイベントやイルミネーションが始まる時期なので自身で調べたりイベント情報に意識を向けてみましょう♪
まとめ
いかがでしたか?
寒くなる季節だからこそ食べたい!旬の食べ物、行きたい!各地の空や光をメインにした季節の催しは見つかりましたでしょうか。
季節鳥の行き来や木々の色づきなどひとつひとつ由来や仕組みがあると分かるだけでより一層季節を楽しめるようになると思います。
当たり前にある季節の物や現象を当たり前に喜べる人でありたいですね。