皆さんは「仲秋」という言葉をご存知ですか?
何となく静かで落ち着いたイメージがありますよね。
この時期には秋の味覚であったり、趣きの風習があったりと興味深い事柄がたくさんあります。
今回はそんな仲秋について時期や旬の食べ物、風習などをご紹介します。
仲秋っていつの時期?
仲秋と聞くと秋の中頃をイメージしますが、詳しくはいつ頃なのでしょうか。
定義としては9月7日の白露から10月7日の寒露までの期間を指します。
ちょうど涼しくなり、朝夕に霜が降り始める頃です。
「仲秋」と似た言葉に「中秋」という言葉がありますが、これは時期を表す「仲秋」とは別のものです。
「中秋の名月」とも言われる旧暦の8月15日のことです。
仲秋に旬を迎える食べ物って?
秋は「食欲の秋」とも言われるほど美味しいものが豊富な時期です。
では具体的にはどのような食べ物が旬を迎えるのでしょうか?以下にご紹介します。
・里芋
ねっとりとした食感が特徴で、甘く煮込み料理や味噌汁の具として使用されます。
名産地:千葉県
・きのこ
秋といえばシイタケやえのき、しめじ、ブナシメジなどが有名です。香りが良く、身がしっかりしています。
名産地:大分県、長野県、新潟県等
・鮭
脂乗りが良く甘みがあります。さまざまな料理に使用され、日本食には欠かせません。
名産地*北海道
・くり
甘くぎっしり身が詰まっています。秋の味覚の代表的な食材です。
名産地:茨城県
旬の食材を使った栄養レシピをご紹介!
食べ物は、旬の時期が最も美味しく、安価で栄養があると言われます。
たくさんの美味しい食べ物が旬を迎えるこの時期ならではのおすすめレシピをご紹介します。
*キノコの和風パスタ*
*材料(2人分)*
- パスタ:2人分
- にんにく:少々
- えのき:100g
- シイタケ:100g
- 醤油:大1
- 昆布茶:小1/2
- オリーブ油:大1
- バター:少々
*作り方*
- パスタをゆで、フライパンにオリーブ油、ニンニクを加えて炒め、食べやすく切ったえのきとシイタケを炒める。
- ゆでたパスタを加え、バター、しょうゆ、昆布茶で味を整え、皿に盛り付け、ネギを飾って完成。
※きのこの風味とバター醤油の香りが食欲をそそります。
食物繊維も豊富で、便通改善にも効果的です。
*鮭とほうれんそうのクリーム煮*
*材料(2人分)*
- 鮭:2切れ
- 牛乳:2カップ
- ほうれん草:1/2わ
- じゃがいも:1個
- 玉ねぎ:1/2個
- バター:少々
- 小麦粉:少々
- 塩・コショウ:少々
*作り方*
- じゃがいも、玉ねぎを食べやすい大きさに切り、レンジで柔らかくなるまで温める。
- ほうれん草を軽くゆで、食べやすい大きさに切る。
- 鮭は一口大に切っておく。
- フライパンにバター、じゃがいも、玉ねぎを入れて炒め、小麦粉を振り入れて炒めた後、牛乳、鮭を加えて煮込む。
- ほうれん草を加え、塩・コショウで味を整えて完成。
※タンパク質やカルシウムを補え、肌寒くなってくる朝夕におすすめです。
*栗ご飯*
*材料(4人分)*
- 剥き栗:200g
- 米:2合
- ごま塩:少々
- 醤油:小1
- 塩:少々
*作り方*
- 炊飯器に米をセットし、剥き栗を乗せる。
- 醤油、塩を混ぜて炊き、ごま塩を振って完成。
※材料も少なく炊飯器に入れるだけなので手軽にでき、秋の味覚を楽しめる一品です。
仲秋に咲いている花ってどんな花?
心地よい涼しさを感じるこの季節ですが、この時期に咲いている花と言われてもピンとこないですよね。
実はじっくり見てみると意外に身近にたくさんの花が咲いているのですよ。
花言葉も併せて以下にご紹介します。
・菊
白やピンク、黄色、オレンジなどの花を咲かせます。咲き方には2種類あり、ポポンマムやピンポンマムと呼ばれています。
花言葉:高貴
・金魚
草姿が金魚の形に似ていることから名付けられました。赤や白、オレンジの小さな花をつけます。
花言葉:おしゃべり
・シオン
astar(星)というギリシャ語を語源とし、星のように伸びる花びらという意味から名付けられました。
花は薄紫色をしています。
花言葉:追憶
仲秋に飛んでいる鳥ってどんな鳥?
朝夕が肌寒くなる季節ですが、空を自由に飛び回る鳥達は相変わらず元気な姿を見せてくれます。
では、この時期にはどんな鳥が飛んでいるのでしょうか。
特徴とともにご紹介します。
・ゴジュウカラ
雀ほどの大きさで、九州より北に生息しています。逆さまになったり、縦に止まったりとおもしろい動きをするのが特徴です。
・ノビタキ
雀ほどの大きさで、オスは頭が黒く、腹はオレンジ色です。田んぼや平地でよく見られます。
・サシバ
タカの仲間で九州や本州に生息します。カラスほどの大きさで、茶色の体を持ち、秋の涼しくなった頃に見られます。
仲秋の候って?時候のあいさつ例文をご紹介します!
ビジネス文章や手紙の始まりや終わりには欠かせない時候の挨拶。
時期や使い方には気を使いますよね。
冒頭文と結びの例文をご紹介しますので、ぜひ参考にして下さいね!
*冒頭文の例文*
- 仲秋の候、朝夕はずいぶん涼しくなりましたがいかがお過ごしでしょうか。
- 仲秋の候、実りの秋を迎え貴社ますますご盛栄のことお慶び申し上げます。
- 仲秋の候、貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。
*結びの例文*
- 季節の変わり目ですのでお身体には十分お気をつけ下さいませ。
- 秋の長雨は思いの外冷えますので、どうぞご自愛下さい。
- 秋も深まり、季節の変わり目に差し掛かっておりますので体調を崩されませんように。
冒頭で秋の涼しさを表し、結びに相手の体調を気遣うような文章を入れると良いでしょう。
仲秋の風習や文化ってどんなものがあるの?
この時期といえばお月見が有名ですが、そのほかにはどんな風習があるのでしょうか。
この時期の行事としては、
- 9月9日:重陽の節句
- 9月の第3月曜日:敬老の日
- 9月中旬:中秋の名月
- 9月23日頃:秋の彼岸
があります。
ではこれらを詳しく見てみましょう。
*9月9日 重陽の節句*
最近ではあまり馴染みの少ない重陽の節句ですが、桃の節句や七夕と同じ五節句の1つです。
中国から伝わったとされ、古くから陽の数である9が重なるめでたい日とされます。
この日には菊の花を飾ったりして邪気を払い、長寿を願う意味が込められています。
(重陽の節句にすること)
重陽の節句の日には、
- 菊の花を飾る
- 菊の花を浮かべた菊風呂に入る
- 菊の花を浮かべた菊酒を飲む
という風習があり、このほかにも栗ご飯や秋茄子、菊の形をした和菓子を食べるなどの習慣もあります。
また、重陽の節句には「後雛」という雛人形を飾る習慣もあることから「大人のひな祭り」としても近年注目されています。
*9月の第3月曜日 敬老の日*
長年にわたり社会に貢献してきた老人を敬い長寿を祝う日とされ、元々9月15日でしたが、2003年より9月の第3月曜日に移行されました。
*9月中旬 中秋の名月(十五夜)*
旧暦の8月15日にあたる、満月の日のことを言います。
月の満ち欠けが15日周期で新月から満月に変わるため十五夜とも呼ばれました。
旧暦の秋は7月から9月にあたり、その中間の8月を「中秋」と呼ぶようになったと言われています。
また、毎月十五夜があるのになぜ中秋の名月だけをお祝いするのかというと、月がとても美しく、お祝いするのに良いとされたためです。
ちなみに、2018年の中秋の名月は9月24日です。
(中秋の名月にすること)
中秋の名月の日には
- ススキを飾る
- お月見団子をお供えする
という風習があります。
お月見の際はススキや月見団子を飾りますが、これは月の満ち欠けを見て農耕を行なっていた農民が収穫の感謝や豊作を祈ることに由来されます。
それでは、ススキと月見団子を供えるようになった由来を説明します。
(ススキ)
古くからススキには魔除けの効果があると言われ、お供えしたススキを軒先に飾ると一年病気をしないと言われていました。
神様が寄り付くという「依り代」としては稲穂が使用されていましたが、この時期に稲穂が揃わなかったため、ススキが代用されたとも言われます。
(お月見団子)
元々は里芋や豆などがお供えされていましたが、江戸時代になると五穀豊穣の感謝を込めて収穫したお米で作った団子をお供えするようになりました。
また、形が月の形に似ていることや、丸い形が縁起が良いことも、お団子が良いとされる理由でもあるようです。
基本的にはお供えしたものは食べて良いことになっており、食べることで健康になったり、神様との結びつきが強くなるとも言われます。
*9月23日頃 秋の彼岸*
秋の彼岸とは秋分の日の前後3日を合わせた7日間のことで、初日を彼岸の入り、最終日を明けと呼びます。
ちなみに春のお彼岸はぼた餅をお供えしますがこれらはどちらも同じもので、春は牡丹の花に、秋は萩の花に合わせて呼び名がつけられました。
おまけ!敬老の日の由来やプレゼントの選び方!
今ではすっかり秋の行事のひとつとして定着した敬老の日ですが、どんな由来があるのでしょうか。
プレゼントの選び方やおすすめのものも併せてご紹介します。
(敬老の日の由来)
一説には、聖徳太子が9月15日に現在の老人ホームの先駆けのような施設を作った「四箇院の制」を実施したからとされていますが、これは一説に過ぎません。
実際には、昭和22年に天候が良くちょうど農作業もひと段落した9月15日に「年寄りの日」として敬老会を開いたことから始まりました。
2002年までは9月15日でしたが、「月曜日を祝日とし、日曜日と月曜日を連休にしよう」というハッピーマンデー制度が導入されたことにより、毎年9月の第3月曜日に移行され、現在に至ります。
(敬老の日のプレゼントの選び方)
敬老の日が近づくと、プレゼント選びには頭を悩ませますよね。
いつも同じものだとマンネリ化してしまいますし、プレゼントによってはお年寄り扱いされるのを嫌がる人もいます。
予算の相場は3千円から1万円程度です。
のしは相手に応じて「お祝い」や、「祝 敬老の日」とすると良いでしょう。
贈らない方が良いとされているものとしては・緑茶→死やお別れを連想させるため・ハンカチ→漢字で手巾(てぎれ)と表現され、別れを連想させるため・くし→苦や死を連想させるため・靴下、下着、靴:下に着たり肌に触れるものは目上の人には贈らないとされています。
また、踏みつける靴なども失礼にあたると言われます。
(おすすめのプレゼント)
○おじいちゃんへ贈る場合○
・和菓子:甘い物好きな方に喜ばれます。固いものや喉に詰まるもの、味の濃いものは避けましょう。
・マッサージグッズ:ずっと健康でいてねという意味を込めて贈ると良いでしょう。
サプリメントなども手軽で喜ばれます。
○おばあちゃんに贈る場合○
・花:花は特別なプレゼントとして、誰にとっても嬉しいものです。少し高価なものやプリザーブドフラワーを贈るのも良いでしょう。
・美容グッズ:いつまでも若くいてねという気持ちを込めて贈ると良いでしょう。好みに合わせて口紅などを贈っても喜ばれます。
・帽子やスカーフ:肌寒くなった時期にさっとつけることのできるスカーフや、外出時にはファッションにもなる帽子は便利です。
これらのアイテムをつけて一緒にお出かけするといった楽しみもできますよ。
まとめ
今回は仲秋についてご紹介しましたが、いかがでしたか?似た言葉に中秋という言葉もありましたが、別の意味を持つことを初めて知った方も多いのではないでしょうか。
この時期には中秋の名月や重陽の節句、お彼岸や敬老の日など、どれも大切にしたい風習です。
日々の忙しさで見失ってしまいそうになる日本の文化ですが、改めて考える余裕を持ちたいものですね。