結婚式に参加してくださった方々には、披露宴の最後に引き出物が配られますよね。感謝の気持ちを込めて主賓側から贈られる品ですが、時に変わったものを受け取った記憶はありませんか?実は新郎新婦の出身地によって、引き出物にはかなり差が出てくるのですよ。今回はそんな各地の引き出物事情について、地域ごとの特徴や引き出物選びのコツをお教えいたしますよ。
引き出物とは何のこと?
せっかくお読みいただくのであれば、「引き出物」という言葉の由来についても気になるところですよね。ということで、何故「返礼品」などとは言わないのか、そもそも引き出物とはいったい何を指すのかといった基本的な部分からおさえていきましょう。
●引き出物は本来「馬」のこと!?
引き出物が最初に贈られたのは、何と平安時代。当時の貴族が宴会を自宅で開催した際、参加者に大層喜ばれたようです。その会の終わりに、お礼として主催者の貴族が自らの馬を引いて来て、それを参加者にお土産として差し出したということが引き出物の起源とされています。手綱を引いてきたことから「引き出物」といわれるようになったということですね。
昔は家畜が財産であり生活になくてはならない存在でしたから、馬をお土産に、という形で感謝を表したわけです。時代を経るごとにその形も変化し、少し前までは「お祝の席の料理を持って帰ってもらう」という形でしたが、最近では衛生面が考慮され、品物を贈るようになったのだそうですよ。
一般的な引き出物は?
引き出物は本来馬を引き連れてくる様子から生まれた言葉であったのですね。その風習が形を変えて現代まで続いているわけですが、一般的にはどういったものが引き出物に選ばれているのでしょうか。各地域ごとの違いをご紹介する前に、比較対象となるオーソドックスな引き出物の品についてチェックしておきましょう。
●2品目セットの場合
引き出物、と一言で表しますが、実はセットで贈るのが一般的です。2品の場合、メインの引き出物+引き菓子という構成になります。この場合、以下のような組み合わせが良く選ばれているようです。
- メイン :食器類
- 引き菓子:日持ちする菓子折り
●3品目セットの場合
2品セットの他に、3品セットで揃えるカップルも多くいらっしゃいます。これはメインの引き出物+引き菓子+縁起物という構成で選ばれ、お祝い事の印として縁起物を盛り込みたいという方に人気の組み合わせです。
- メイン :タオルセット
- 引き菓子:日持ちする菓子折り
- 縁起物 :かつお節など
各地の引き出物事情って?
一般的には生活用品と菓子折りがセットで引き出物に選ばれていることが分かりましたね。では、いよいよ本題の地域の引き出物事情についてお話していきますよ。各地に独特の文化があり、中々興味深い違いがみられるかと思います。
●北海道・青森県
引き出物の定番はバームクーヘン。1品のみで、持ち帰りやすさやバームクーヘンの質にこだわりがみられるそうです。
●新潟県
新潟の引き出物は4品が基本で、メインの引き出物+引き菓子+縁起物+松の葉という構成となります。松の葉とは「名刺代わり」という意味で、ちょっとした贈り物(風呂敷やハンドタオルなど)が用意されるのだそう。
●富山県
メインの引き出物に鯛型のかまぼこを選ぶのが富山流。カラフルに色付けされ、大きさも50cm程度とかなりビッグサイズなものが好まれる傾向にあるようです。
●栃木県
縁起物として、栃木ではお赤飯とかつお節が欠かせないものとされています。お赤飯の朱色は邪気を払い縁起が良い色と考えられていますし、かつお節は夫婦仲が良いことの象徴として現代でも好まれる品ですね。
●香川県
「おいり」という餅菓子が定番品として引き菓子に選ばれます。「おいり」はあられの一種で、ひな祭りにお供えする雛あられのようにカラフルでポップな和菓子として、最近では県外からの注文も多いのだそう。
相場にも地域性が!?
日本各地にはさまざまな引き出物の文化がありましたね。しかし引き出物には、まだ地域性がみられるポイントが。引き出物選びの基準ともなる相場でも、各地域で違いが出てくるのですよ。大まかに以下の5つの地域で比較してみましょう。
●北海道
3千円ほどが相場。バームクーヘンのみと考えると、かなり贅沢なのではないでしょうか。
●関東
5千円ほどが相場。全国的にみて平均値といえる金額のようです。
●関西
6千円ほどが相場。やや高級志向にあるようですね。
●九州
4千円ほどが相場。お祝い事には大人数が駆けつける地域ということもあるためか、引き出物にはそこまで金額をかけないようですね。
●四国
6千円強が相場。関西よりもリッチな引き出物を用意する傾向にあるようです。
どうやって引き出物を選ぶべき?
品物や相場にも地域性がありましたが、これから挙式を考えているご夫婦にとっては「じゃあどうやって引き出物を選べばいいの?」という点が疑問になってきますよね。確かにこれだけ違いがあると、せっかく来場くださった方に失礼にならないか心配になってしまうかもしれません。しかし心配ご無用、以下のようにお考えになれば、引き出物で失敗することはありませんよ。
●ケース別で使い分けを!
もし結婚相手を含め、親戚も地元や近辺の地域に住んでいるということであれば、ご自身やご両親に親しみのあるローカルな引き出物が喜ばれるでしょう。地域の考え方や習慣に根差したお礼の仕方は温かみがありますし、主賓のお二人も悩まずに済みますね。
お相手の方や親戚の方のお住いがバラバラで、考え方に違いがあるようなら、一般的な2品もしくは3品セットの引き出物を用意するのがベターでしょう。平均的な引き出物は、お二人の感謝の気持ちが伝わりやすく、参加者の方も抵抗なく受け取ってもらえるという利点がありますね。
引き出物選びの際には、このように状況に合わせて考えてみることが最適な手段となりますよ。
まとめ
ご友人や親戚の方の結婚式に参加された際、今回ご紹介したような引き出物を受け取ったことはありましたでしょうか。引き出物という習慣は各地で同じくあるものの、内容にはかなり地域差があることが分かりましたね。一番初めは馬を渡していたはずが、その地域独自の感謝の表し方が生まれていった…こちらをお読みになった皆さんが、歴史の流れを感じ、また引き出物という文化に対し興味深く感じていただけましたら幸いです。