七五三は、お子さんの成長を願って節目の年齢で行われる大切な年中行事です。秋晴れのさわやかな季節、お子さんだけではなく親も着物で参加したい、という方も多いのではないでしょうか。
実は、七五三の着物には年齢によって違いがあるほか、親が着る着物も状況に合わせた種類が必要です。せっかくの晴れの日、格式にのっとった正装をしたいですよね。
今回は、七五三でお子さんに用意する着物や、親が着物を選ぶ時に注意するべきポイントについて詳しくご紹介します。
3歳の女の子の着物は三つ身で被布を忘れずに
3歳の女の子が七五三で着る着物は幼児に合うよう仕立てられており、三つ身と呼ばれています。三つ身は、普通の反物(着物用の生地)の半分を使用して仕立てられており、小さな肩幅でもぴったりと合う大きさです。もし、お宮参り用の産着と呼ばれる着物があるのでしたら、三つ身の着物に仕立て直しても良いですね。
さらに特徴があるのは、被布(ひふ)と呼ばれる上着のような形の衣服を着ることです。そもそも被布とは、着物の時に着るコートのような役割があり、江戸時代にはお茶や俳句などを嗜む風流な人が着用していました。帯をしめなくても被布を着れば正装として形が整うので、体に負担がかからず上品さを保つことができます。
3歳の女の子の七五三で着用する被布には袖がなく、晴れやかな色合いで可愛らしさが引き立ちます。被布自体が正装であることはもちろんですが、「帯がいらない」「袖がない」ことで窮屈さが緩和されるので、3歳の七五三の着物として長く親しまれてきました。3歳の七五三で必要な小物は以下のようなものです。
- 腰紐
- へご帯
- 長襦袢
- 重ね衿
- 草履
- 巾着
- 髪飾り
着物をセットで購入する場合には被布もついていますが、着物だけしかない場合には被布も用意しなければなりません。もし自分で用意するのが難しいようでしたら、レンタルなどを利用して必要な小物を揃えるようにしましょう。
7歳の女の子の着物は四つ身で帯締めする
7歳の女の子の着物は、より大人の装いへと近づいていきます。「3歳の時の着物があるから大丈夫」と思う親御さんもいるのですが、実は3歳の着物とはまったく違い仕立てになるので注意が必要です。
7歳の着物は幼児から抜け出した子ども用で、身長に合わせて仕立てられます。目安となる反物の長さが身長の4倍なので四つ身と呼ばれており、着る子どもの体に合わせて準備をしていくのが一般的です。
さらに、七五三のお祝いで7歳の年は大人への第一歩を踏み出すという意味も込められますので、大人と同じ帯締めを行うのが一般的です。これは帯解きと呼ばれており、大人と同じ形の着物を身にまとって成長を祝います。したがって、3歳の時よりも用意しなければならない小物が多く、自分で揃えるのは少し難しいかも知れません。
7歳の女の子に必要な七五三の小物は、以下のようなものです。
- 半襟をつけた長襦袢
- 帯(飾り帯)
- 帯板
- しごき
- 帯揚げ
- 腰紐を3〜5本
- 帯締め
- 足袋
- 草履
- 扇子
- はこせこ
- バッグ
- 髪飾り
上記の例を見るだけでも、グッと大人の装いに近づいているのがわかりますね。3歳の時に使ったものから流用できるものは少ないですが、髪飾りをアレンジして7歳の時に使うのも素敵です。お子さんと相談しながら、楽しく着物の準備をしてみましょう。
男の子の着物は羽織袴で格式に合わせたものを
七五三での男の子の着物は、羽織袴で凛々しい姿が際立ちます。最近ではレンタルでも色々な種類の羽織袴がありますが、近年人気が高いのは黒や青を貴重とした着物です。神社での参拝は神様へのご挨拶ですし、失礼のない色合いの正装でご挨拶することで、神事の大切さや伝統を重んじることができます。
「男の子の七五三は5歳だけ」と思っている人も多いのですが、地域によっては3歳で髪置きという神事を受けたり、より健やかな成長を願って男の子でも3歳で七五三をする人もいます。そもそも七五三は、3歳で髪を伸ばし始める髪置き(かみおき)の義、5歳で袴を着る袴着(はかまぎ)の儀、7歳で着物帯をつける帯解き(おびとき)の儀と分かれています。5歳と7歳の儀式は男女の対象がはっきりしていますが、3歳の髪置きの儀は性別関係なく子どもすべてが対象です。
したがって、3歳で男の子が七五三をお祝いしても何も問題はありませんし、むしろ伝統にかなったお祝いだと言えます。七五三は、子どもが無事に育つよう神様にお願いする大切な行事ですから、3歳でも参加するとより安心ですね。
男の子の場合でも、3歳であればお宮参り用の産着の着物を仕立て直して七五三で着ることができます。着物だけを用意して、羽織袴はレンタルしたり購入するのも良いですね。
男の子の着物で揃える物は、以下のようになっています。
- 着物(3歳なら三つ身、5歳なら四つ身で用意)
- 羽織
- 着物
- 襦袢
- 半襟
- 腰紐
- 角帯
- 草履
- 扇子
5歳の男の子なら七五三の意味を理解して、着物と草履でも着こなしてくれますが、3歳の男の子だと動きにくかったり窮屈でぐずってしまうかも知れません。慣れない草履で足を痛め、転んでしまう子もいます。着る年齢にもよりますが、もし小さなお子さんで足を痛めてしまいそうでしたら、着物の色に合わせた色の靴やスリッポンなどを用意しておき、状況に合わせて履き替えるようにしてみましょう。
着物を揃えるのが難しい時にはレンタルを上手に利用して
七五三の着物はとても可愛らしいですが、自分で揃えるとなるとなかなか厳しいですよね。詳しい人が小物を揃えるのも大変なのに、着物にあまり詳しくない人だと余計に難しく感じてしまいます。そんな時には、着物のレンタルを上手に利用してみるのも良い方法です。
七五三の着物をレンタルする方法はいろいろありますが、実際に利用した人の多くが次のような方法を取っています。
写真スタジオの撮影セットでレンタル
- 撮影と着物のレンタルが一緒なのでお得
- 小物まですべて揃っていて記念写真も撮れるので安心
- 着付けもしてくれるから楽
- 着た後の着物の保管を考えなくて良い
- たくさんの種類から好きな着物を選べる
美容室のレンタルサービスを利用する
- 美容室で着付けてもらえる
- 手持ちの着物と合わせてバランスを考えてくれる
- 髪型などの細かい部分を注文できる
- 行きつけの美容室だと子どもも顔見知りで安心
- 借りた着物の保管に悩まなくて良い
レンタル会社の着物をレンタルする
- 足りないものだけを一部借りられるので助かる
- 着付けを頼みたい美容室を選べる
- セットで安いサービスがある
- インターネットでも気軽に申し込めるから便利
- 着物の保管や手入れを気にしなくて良い
それぞれのメリットを良く見ると、自由度が高いものからすべてお任せできるものまで、結構幅広いサービスがありますね。ご家庭での考えやプランと良くすり合わせをして、ぴったりなサービスを選んでみましょう。
親が着る着物は神事に相応しい正装を選ぶ
七五三の着物で悩むのは、お子さんだけではありません。一緒にお参りに行かれるお母さんも、着物選びにはとても悩んでしまいますよね。母親が着る着物には、以下のような種類があります。
- 付け下げ
- 色無地
- 訪問着
- 小紋
上記の中で、七五三にふさわしいとされるのは色無地と訪問着の2種類です。本当なら紋付のものが良いのですが、なくても準礼装の着物と認識されます。付け下げや小紋はちょっとした外出着の扱いになるので、神事である七五三には向いていません。ただし、小紋の中でも江戸小紋と呼ばれる種類は格式が高いので、七五三などのお祝いで着ても問題はありません。
洋服がほとんどの生活のなった現代では、着物を着ているというだけでも正装という気持ちになりますが、実は着物には格式についての細かな決まりがあります。決まりを無視した着物で七五三に参列した場合、知識のある人から苦言を述べられるだけではなく、神様に対しても失礼になります。
せっかくの晴れの日ですから、格式も守った着物でお子さんを見守りたいですよね。一人で着物を準備するのが難しい時には、着物に詳しい人からアドバイスをいただいたり、思い切ってレンタルして失礼のない着物を揃えておくなど、自分にあった方法で用意してみましょう。
まとめ
今回の記事では、七五三の着物について詳しくご紹介してきましたがいかがでしたか?年齢や性別によって意味がある着物には、七五三の儀式の意味が込められています。本来の意味をしっかりと守った着物を用意すると、より一層お子さんの成長が尊く嬉しいものになりますね。慣れていない人には少し難しいですが、セットでのレンタルサービスなどを上手に利用して、着物での七五三を楽しんでみましょう。