少し前まで葬儀といえば、大きな会場で方々から参列者に来てもらうようなイメージがありましたが、最近では「家族葬」という葬儀方法が注目されているようですね。
一般的な葬儀よりもミニマムに執り行われることは想像できるかと思いますが、いったいどんな内容なのでしょうか。
今回はそんな話題の葬儀、家族葬について詳しく解説していきますよ。
そもそも家族葬とは?
家族葬と一般的な葬儀との違いはやはり参列者が限られるという点です。
親族や故人と親しかった友人・知人のみで開かれる小規模な葬儀になります。
参列者どうしも面識があることが多く、堅苦しくなく和やかな雰囲気で執り行われるという特徴も。
●家族葬を選択する意味とは?
身内や顔なじみのある方々で葬儀ができる、という点も選ばれる理由の一つですが、その他にも家族葬が注目されている理由があるんです。
最近では葬儀は遺族に負担がかかるとして、「葬儀は家族葬にしてほしい」と生前頼まれることも多いのだとか。
またご高齢になるにつれ葬儀に参列できる友人・知人が減ってしまうので、結果的に小規模になるため家族葬という形態に落ち着く、ということも選ばれる理由として多いそうですよ。
家族葬の基本的な流れ
具体的には家族葬はどういった流れで執り行われるものなのでしょうか。
「もしも」の際の備えとして、準備方法を含め確認しておきましょう。
●家族葬の流れ
- 事前準備:いざとなると慌ただしくなりますし、また悲しみの中にあるご遺族にとっても負担となりますので、できれば事前にどこの葬儀社にお願いするか、など決めておくと良いですよ。
その際に家族葬にする意向を伝えておくようにしましょう。 - ご臨終後:親戚や会社関係者に連絡をする際は、家族葬であることと、弔電や供花をお断りする場合はその旨も一緒に伝えましょう。
また故人と親しかった友人・知人の方々に訃報連絡をはがきや電話ですることも忘れずに。
もし事前に準備がなかった場合は、このタイミングで葬儀社と葬儀方法を決める必要がありますが、慌てずしっかり家族葬にしたいという意向を伝えるようにしましょう。 - 通夜:故人との別れを惜しみ、遺族への慰めを伝える場になります。
一般的な葬儀とは違い、家族葬の場合は返礼品などはありませんから受付は用意されません。
会場によては親族控室を用意してもらえるので、親族の方はそちらに泊まり翌日の告別式まで故人の傍にいることも可能です。 - 告別式(葬儀式):故人との最後のお別れの日。
参列者への挨拶、告辞・弔電が披露されます。
その後お棺を生花で飾りながらお別れ告げましょう。
仏教式であれば告別式と共に法要を行ってもらうなど、宗教家をお呼びするのもこの日にすることが一般的です。
1時間ほどになるかと思いますが、人数も少ない分ゆっくりと故人とのお別れができることでしょう。 - 出棺・火葬など:お別れの儀式の後、出棺→火葬場での火葬→精進落とし→お骨上げという流れになります。
- 葬儀後:家族葬という旨を関係者に伝えていても、葬儀後に弔問に訪れる方もいらっしゃいます。
人づてに聞いて是非に、という方もいますから、自宅には念のため会葬返礼品を用意しておくと良いでしょう。
告別式での挨拶はどのようなものにすべき?
会場スタッフが進行も手伝ってくれますので、基本的に家族葬では挨拶を簡略化してもOKですが、やはり告別式には参列者へ挨拶をすべきといえます。
親族の方や見知った友人方のみの葬儀になりますが、喪主の方はどういった内容の挨拶文にすべきなのでしょうか。
例文をいくつかご用意しましたので、以下を参考にしてみてくださいね。
●基本構成:
長女〇〇と申します。親族を代表し、みなさまにご挨拶申し上げます。ご多忙中にも関わらず、本日はご会葬賜りましてありがとうございます。
おかげをもちまして、通夜・告別式共に滞りなく執り行うことができました。最後にお見送りいただき、△△(故人名)も喜んでいることと思います。
※ここで以下の例文を参考に、故人との思い出を簡単に述べる。
なお、残されました私ども家族に対しまして、今後とも亡き父△△同様、ご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
簡単ではございますが、遺族を代表しお礼の挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
●例文1:
父が入院してる中で「また一緒に旅行に行こうね」と話していたのですが、それが叶わず残念です。もっと一緒に過ごしたかったという気持ちが込み上げますが、これからも父は私たちの中にあり続けてくれると思います。
●例文2:
母が早くに亡くなり、父は男手一つで仕事と家庭を守ってくれました。
大人になり私たちも家庭を持ちましたが、改めて私たちを育てるのは大変だっただろうと思います。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
父は不器用な人でしたが、精一杯私たちを育てあげ、また自身の人生を生きました。私たちも父の背を思い出し、強く生きていこうと思います。
参列のお声かけはどこまで?人数に制限はある?
家族葬はこじんまりとした会になりますし、会場もその分小さく用意されますが、参列者の人数制限はあるのでしょうか。疑問に思われる方も多い点ですので、こちらで確認しておきましょう。
●一般的な家族葬の人数と呼びかける範囲
平均的な家族葬の参列者数は、多くとも30名前後といわれています。
特に「ここからここまでは呼ぶべき」という線引きはありませんが、生前特に親しかった友人はあらかじめリスト化しておくなどすると良いですね。
また親族は基本的にお呼びするかと思いますが、故人とあまり仲が良くなかった、といった場合は無理に参列を促す必要はありませんよ。
●参列者数についての注意点
線引きや決まりはなく、お好きな範囲でお声掛けして良いのが家族葬の利点の一つですが、注意すべき点が一つあります。
もしあらかじめ葬儀社に伝えていた参列者数と実際お呼びする人数が異なる場合、プラン変更になり費用が変動する可能性があるということを覚えておきましょう。
相談の段階でその点は一言添えてもらえるはずですが、「もしも」の時に予定と変わることはあるかと思いますので、念のため頭の片隅に留めておいてくださいね。
服装に決まりはある?
身内や顔見知りで集まることになる家族葬ですが、服装は一般的な葬儀と比べて変わるところはあるのでしょうか。「もしも」の前に必要な準備の一つですので、あらかじめこちらでみておきましょう。
●和装スタイル
- 男性の場合:
喪主である方は黒紋付の着物にグレーや黒の袴を履きます。
足袋は白くて構いません。参列者の場合、家族葬であれば紋付の着物でなくとも問題ないでしょう。
袴も必須ではありませんよ。
暗めの色の着物であれば、後は季節に応じて黒の紋羽織を合わせればOKです。
足袋は白でもいいですし、着物がやや明るく思えた場合は黒や紺の足袋にするといいでしょう。 - 女性の場合:
喪主の方は黒無地の五つ紋染め抜き(背中の中央と、両外袖と両胸元にそれぞれ一つずつ家紋が入った着物)を、参列者の方は黒無地の着物に帯も黒地のものを合わせましょう。
長襦袢や半襟も含め、黒白で統一すればOKですよ。
●洋装スタイル
- 男性の場合:
ブラックスーツ(ダブルまたはシングル)を着用し、ズボンはシングルの裾にしましょう。シャツは白無地で、ネクタイは黒無地で結び下げ。
喪主の方以外であれば、スーツは濃紺・グレーでもOKです。
しかしネクタイや靴下・靴は黒色のものにしましょう。 - 女性の場合:
ブラックスーツや黒地のワンピースが良いでしょう。
ストッキングと靴も黒で統一するようにしてください。喪主の方以外は、ブラックでなくとも濃紺のものを選ぶようにしましょう。
●お子さんはどうする?
お子さんが参列する場合は、お持ちであれば制服を着崩さずに着用すればOKです。
もし色味が明るすぎる場合は、そのパーツだけ別途用意すれば良いですよ。
制服などお持ちでない場合は、よそ行きの格好や黒白・グレーの色味で洋服を揃えれば大丈夫です。
家族葬の相場はどのくらい?
先ほど少しお話しましたが、家族葬では相場が人数によっても変わってきます。その点もふまえ、大まかな家族葬の相場について最後に確認しておきましょう。
一日葬の場合
通夜がなく、一日で葬儀を済ませるタイプの家族葬もあり、一日短い分費用も抑えられるというメリットがあります。
およそ30万円前後でお願いすることが可能ですが、人数も10名強ほどに限られることが多いという点にも注意。
一般的な家族葬
適度なお花と人数(10~20名ほど)でOKということであれば、50~60万円前後でお願いすることができます。
お花や参列者数を増やしたり、お料理を豪華にしたいということであれば70~100万円前後まで幅広くプランが用意されています。
参列者の人数やご希望の雰囲気・予算にあった葬儀方法を探してみてくださいね。
まとめ
今回は注目が集まる家族葬についてお話してまいりましたが、ご参考になりましたでしょうか。
一般的な葬儀よりも和やかな雰囲気で行え、また会場でも見知った方が多く、あまり緊張せずに過ごせそうですね。
また故人とのお別れもゆっくりすることができますし、人気の理由がお分かりいただけたかと思います。
こちらの記事でご興味持っていただた方は、参列者数や装飾内容などでプランも変わってきますので、ご自身やご家族が納得するような形の家族葬を探してみてくださいね。