みなさんは「初春」という言葉をご存知でしょうか?
メデイアや学校、社会生活において一度はどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか?
「初春」と聞いてどのような印象を持ちますか?
またはいつ頃のことを指すのか、どんな風習があるのか、すぐに答えるのは難しいですよね。
おそらく多くの方の印象としては、
清々しい春の始まりや生き生きとした印象を持つ方が多いと思います。
では、実際はどうなのでしょうか?
今回は「初春」について時期や風習、季節の食材や時候の挨拶までまとめてご紹介します!
初春とはいつのこと?
初春とはいつのことを指すのでしょうか?
春の初めの清々しいイメージはありますが実際はどうなのでしょう。
まずは初春について解説していきます。
初春は旧暦の1月に由来するといわれています。
現在は1月の終わりから3月の初めを指します。
季節のことですのではっきりとした線引きはありませんが、おおよそこの時期を初春と呼びます。
食べ物や食に関する風習はあるの?
では、初春の時期はどのような食べ物が有名なのでしょうか?
食べ物に関する風習はあるのでしょうか?
簡単なレシピも併せてご紹介します!
初春とは1月下旬から3月上旬を指すため、その期間ごとにご紹介します。
*食べ物*
1月:みかん、キンカン、りんご、白菜、ネギ、かぶ
2月:ふぐ、かに、春菊、八朔、いよかん、みつば
3月:春キャベツ、菜の花、筍、いちご、カレイ、鰆
*風習*
お雑煮、けんちん汁、恵方巻、ちらし寿司、
ハマグリのお吸い物、雛あられ、ひしもち等
それぞれの食文化について簡単に解説します。
*お雑煮*
お雑煮とは、お正月に多く食べられ、味噌や醤油ベースの汁におもちや野菜を入れた料理のことを指します。
具は地方や家庭によって違いがありますがお餅は必ず入ります。
昔、お餅は大変贅沢なもので「神の力が宿っている」と考えられおめでたいものとされていました。
そのため、お雑煮を食べ、1年の幸福や豊作を祈願するという意味から食べられるようになったと言われます。
餅の形は地方によって異なり、関西では円形、関東では四角形の餅が一般的です。
*けんちん汁*
けんちん汁という名前の由来は2つの説があります。
中国の精進料理の中に巻繊(けんちん)という根菜と椎茸などをごま油で炒め、味付けした物を基にしてけんちん汁になったという説と、日本の建長寺の僧侶が作った精進料理が、建長寺汁→建長汁→けんちん汁に変わったのではないか、というものです。
中国の説が有力だと考えられていますが、実際には明確ではないようです。
では、現在食べられているけんちん汁はどのようなものでしょうか?
食材には、大根、人参、ごぼう、里芋、こんにゃく、豆腐、椎茸、ネギが入っており、肉は使用していません。
またスープは醤油ベースであり、野菜中心で栄養豊富な為健康に良い食べ物だと言えます。
*恵方巻*
毎年節分に食べる恵方巻。
その年の方角を向いて食べることで有名ですよね。
江戸時代に大阪で商売繁盛を祈願するものとして始まったと言われています。
具材にはきゅうり、かんぴょう、伊達巻、うなぎなど7種類使用されますがこれは七福神を表し、「福を巻き込む」という願いが込められているそうです。
また一本丸ごと食べることが有名ですが、これは「縁を切らない」ことに由来していると言われます。
*ハマグリのお吸い物*
ひな祭りに食べられるお吸い物です。
対になっている貝殻でなければぴったりと合わないとされるハマグリを使うのは、一生一人の人と添い遂げられますようにという願いが込められています。
*ちらし寿司*
こちらもひな祭りに食べられるものです。
それぞれ具材によって次のような意味があります。
- エビ→長生き
- レンコン→見通しがきく
- 豆→健康でマメに働く
見た目も華やかなため、ひな祭りに食べられるようになったと言われます。
*雛あられ、ひしもち*
雛あられにはピンク、緑、白、黄色の4種類があり、これは四季を表していると言われます。
でんぷんが多く、健康に良いことから娘の幸せを願う意味が込められています。
ひしもちとは緑、白、ピンクのお餅をひし形に重ねたものでそれぞれの色に意味があります。
- 緑→健康
- 白→清浄
- ピンク→魔除け
また、ひし形は心臓を表し、災厄を除き、娘の健康を願う意味が込められています。
初春レシピをご紹介!
ここで食の風習にあった健康食、けんちん汁をご紹介します。
具材も多く、一品でおかずの主役にもなりますのでぜひ作ってみてくださいね!
*けんちん汁レシピ*
材料(4人分)
- 豆腐・・・ 1丁
- 大根・・・ 6㎝
- 人参 ・・・ 半分
- 椎茸・・・ 3枚
- ごぼう ・・・ 1/3本
- 里芋・・・ 3個
- こんにゃく ・・・ 半分
- 油揚げ・・・ 1枚
- 小松菜 ・・・ 1わ
- だし汁・・・ 5カップ
- 醤油 ・・・ 大1と1/2
- 塩 ・・・ 小1/2
- 酒 ・・・ 大2
*作り方
- 豆腐を軽く水切りし、荒く潰す。
- 大根、人参を半月切り、しいたけを4つ切り、ごぼうを斜め薄切り、里芋を輪切りにする。
- こんにゃく、油揚げを食べやすく切り鍋で具材を炒め、だし汁を加えて煮込む。
- 最後に豆腐、小松菜を入れ、塩、醤油、酒で味を整える。
初春に咲く花や植物ってどんなもの?
春は花や植物が豊富な時期ですよね。
月ごとにどんなものが咲くのか見てみましょう!
*1月*
- 蝋梅→冬の代表的な花。梅干しや果実酒にも使われる。
- 寒椿→梅の花に先立ち黄色く甘い香りがする。
- クリスマスローズ→冬から春に咲き、清楚で美しい花。
*2月*
- トサミズキ→釣鐘状の淡い黄色の花が咲く。
- アネモネ→ケシに似た花が咲く。
- スイセン→公園などによく見られる白と黄色の花。
- ミモザ→黄色くアカシア類の物を呼ぶ。
*3月*
- オオイヌノフグリ→青花を葉の上に咲かせ、公園などに存在する花。
- チューリップ→春の代表的な花。
- ハコベ→茎の先に小さい花を咲かせる春の七草の一種。
行事や習慣ってあるの?
寒さも和らぎ始める初春の時期ですが、この時期にはどんな行事や習慣があるのでしょうか?
有名な行事は、節分、桃の節句、春のお彼岸です。
それぞれについて簡単に説明します。
*節分*
節分とは立春の前日のことを指し、豆まきなどをして邪鬼を払う行事のことです。
由来 : 節分とは季節の変わり目という意味を持つ言葉で、
以前は立春、立夏、 立秋、立冬の前日とそれぞれ4回ありました。
次第に極寒の冬を乗り越えた後の立春ですが特に1年の始まりとして大切にされたため、節分と言えば2月3日を指すようになりました。
豆まきの理由 : 季節の分かれ目には邪気が入りやすいという言い伝えがあり、
旧暦の元旦が現在の立春の頃であったためこの時期に邪気を追い払う行事を行ってきました。
この行事と、年4回あった節分に「豆うち」の儀式が合わさって豆まきになったとされています。
また、大豆を撒く理由は、大豆には邪気を払う霊力があり、穀霊が宿るとされていたため、米に次いで神事に用いられたからと言われます。
さらに豆を鬼の目に投げつけることについては魔の目にぶつけて魔を滅するの語呂合わせによってでき、1年の無病息災を祈る意味が込められているようです。
*桃の節句*
桃の節句は3月3日の日を指し、別名ひな祭りと言われ、女の子のために雛を飾ります。
由来 : 桃の節句の始まりは3月上旬の巳の日の節句と関わりがあると言われています。
上巳の節句には紙で作った人形を川に流すことで厄払いをしていました。
紙の人形には当時流行っていたひいな遊びと言われるおままごとの人形を使っていたため、桃の節句を女の子に対するものとし、桃の花が咲く時期であったため、この名前をつけたと言われています。
雛人形 : 雛飾りは基本的には7段あります。
1段目 : 内裏びな→天皇、皇后をかたどった男女一対の雛
2段目 : 三人官女 → 宮中に仕える侍女
3段目 : 五人囃子→能楽の囃子方
4段目 : 随臣→ 警護のための役人
5段目 : 仕丁→雑用係の3人
6段目 : 6、7段→お道具
7段目 :貴族の婚礼の際の持ち物
片付けるタイミングですが、雛人形には娘の身がわりになってくれるという意味もあり、災いを再度引き寄せないためにも、すぐに片付けるのが良いとされています。
*春のお彼岸*
由来 : 彼岸という言葉の由来は「波羅密多」(はらみた)の意訳、「到彼岸」(彼岸に到達すること)にあります。
彼岸には「あちら側」という意味があり、乗り越えるべき煩悩や悩みを川に例え、川のこちら側を「この世」、あちら側を彼岸、「悟りの境地」とし、悟りの境地に到達するための修行をしたと言われます。
その後、いつしか彼岸という言葉は死後の極楽浄土を表すようになり、ご先祖様の住む世界のことを言うようになりました。
彼岸にこの世と極楽浄土が最も通じると考えられていたことから、この日にご先祖様の供養をし、ご先祖様をしのぶようになったと言われます。
この日にはお墓参りやぼた餅、おはぎを食べる習慣がありますが、これは小豆の朱色が災難から身を守るとされていたためだと言われているためです。
また、ぼた餅は春、おはぎは秋の彼岸とされていますが、どちらも同じものであり、春の彼岸は春に咲く牡丹を、秋の彼岸には中秋の名月に供える萩から名付けられたと言われます。
各地域の独自のイベントや風習は?
日本各地には四季折々にさまざまなイベントが催されます。
それぞれ各地域独特の風習があって面白いですよね。
以下有名なイベントや催し物をご紹介しますので、気になるものがあればぜひ足を運んでみて下さいね!
*京都 *
*小豆粥で初春を祝う会*
場所 :東林院
内容 : 1月15日〜31日まで院内にて小豆粥を味わえるイベントで、
小豆粥を食べると邪気を払い、万病を防ぐと言われます。
妙心寺東林院では法要「小豆粥散飯式」が行われ、自由参加もでき、予約なしでも小豆粥を食べることができるようです。
*節分イベント*
*福岡 * 櫛田神社 節分大祭
場所 : 櫛田神社
内容 : 日本一大きなお面の飾り付けが有名で豆だけでなく、食事券や映画券まで撒かれるそうです。
また神社にいる赤や緑の鬼に子供を抱っこしてもらい、厄払いをすることもできるのでこちらもオススメです!
また、毎年豪華な有名人ゲストも来るため大混雑しますが、行ってみる価値はありますよ!
*東京都*
*浅草寺節分会
*場所 : 浅草寺内容 : 12時、14時頃に年男の豆まきが行われます。
16時頃には40回有名人が代わる代わる豆まきをしてくれるという嬉しいイベントもあり、大変人気があります!
*ひな祭りイベント*
*福岡県*
*柳川ひな祭りさげもんめぐり*
場所 : 福岡県柳川市沖端町35
内容 : 日本三大吊るし飾りの1つ、「さげもん」は、
「子供が長生きできますように」という願いが込められており、さげもんと呼ばれる飾り物がたくさん吊るされています。
この時期にしか見ることのできない光景です!
*茨城県*
*百段階段でひな祭り*
場所 : 茨城県久慈郡大字大子町大子426-1
内容 : 3月3日の1日のみ、百段階段に約1000体の雛人形が飾られる、とても珍しい催し物です。
1300年の歴史を持ち、ここでしか感じられない雰囲気があります。
甘酒や雛あられも配られますので、散歩をしながらゆっくり見たいものですね!
手紙や資料作りに必須!時候の挨拶や例文をご紹介!
資料作りや手紙などを作成する際、時候の挨拶は必要不可欠です。
それぞれに使える時期や正しい使い方があり、すぐに書こうとしても難しいものです。
以下に例文も併せてご紹介しますので、参考にしてみてくださいね!
*1月*
*時候の挨拶 : 初春の候、新春の候、大寒の候、寒冷の候
*季語 : 新年、初詣、年賀、コマ、冬桜、松の内
*挨拶例文 *
- 松の内も過ぎ、平常の生活になりましたがいかがお過ごしでしょうか
- 年が改まり、厳しい寒さの中にも清々しい日々の訪れを感じますがお元気でしょうか
- 初春の候、貴社ますますご健勝のこととお慶び申し上げます
- 初春のみぎり皆様いかがお過ごしでしょうか
*結びの言葉*
- 厳しい寒さが続きますがくれぐれもご自愛下さい
- 厳寒のみぎり、お体にはお気をつけ下さい
- ○○さんにとって幸多き1年になりますように
*2月*
*時候の挨拶 : 晩冬の候、向春の候、梅花の候、立春の候
*季語 : 睦月、立春、ワカサギ、鶯、梅
*挨拶例文*
- 寒気もようやく緩み始めたようですがいかがお過ごしでしょうか
- ふきのとうを見つけ一足早い春の訪れを感じました
- 向春の候貴社ますますご健勝のこととお慶び申し上げます
- 梅花の候、貴社ますますご健勝のこととお慶び申し上げます
*結びの言葉*
- まだまだ寒い日が続きますが、ご自愛下さいますようお祈り申し上げます
- 底冷えする日々ですが、お風邪など召されませぬようお気をつけ下さい
*3月*
*時候の挨拶 : 早春の候、春暖の候、迎梅の候
*季語 : 如月、桃の節句、彼岸、しじみ
*挨拶例文*
- 桃の節句も過ぎ、ようやく春らしくなってきましたがお元気でしょうか
- 柔らかな春の日差しが嬉しい日々ですが、お元気でしょうか ・早春の候、貴社ますますご健勝のこととお慶び申し上げます
*結びの言葉*
- 花冷えの候風邪など召されませんようお気をつけ下さい
- 見頃のうちにお花見にお誘い下さい
まとめ
今回初春についてまとめてご紹介しましたがどうでしたか?
一言で初春といっても奥が深いことが分かりますよね。
特に資料やお手紙を書く際は時候の挨拶が必須ですし、時期や季節の風習を知っているだけでも生活に役立てることができます。
また、各地のイベントなどもご紹介させていただきましたのでぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
この記事が少しで生活のお役に立てたら幸いです!